第8話 いざ魔獣の森へ! の前にレベルアップだ!
僕たちは野営出来る場所を求めて魔獣の森の外周を歩く。シーヤが見て覚えた地図だとこのまま歩いて進んでも魔獣の森が途切れる事はないらしい。
「出来れば水場があるといいんだけどな。この世界では魔獣の中に食べられる魔獣もいて、この魔獣の森の外周にもちょくちょく現れるらしいから。水場の側だとそういった弱い魔獣も良く見られるらしいし」
シーヤはレベルアップしたからか、技能に異世界雑学が増えたって言ってた。レベルが上がる事にこの異世界の雑学が増えていくんだって。凄いよね。
「シーヤ、あの辺りは?」
ショーコが指さした場所はちょうど小川が魔獣の森から流れている場所だった。小川の幅は約二メートルだ。
「うん、良さそうだな。ショーコ、良く見つけたな」
シーヤがショーコを褒めると、
「フン、ほ、褒めたって何も出ないんだからね!」
とショーコのツンが出た。それを生暖かい目で見る僕たち。言葉とは裏腹に嬉しそうな顔を隠しきれてないよ、ショーコ。
小川のすぐ側だと水棲の魔獣もいるかも知れないからと、僕たちは小川から十五メートルほど離れた場所に野営の準備をした。
シーヤの指示で集めていた弱い魔獣を寄せ付けない薬草を先ずは焚き火にくべる。
この匂いはこの世界だと聖なる物になるらしくて、力の弱い魔獣は寄ってこれないんだとか。
僕たち人間にはとても良い匂いに感じるんだけどね。
「アレ? でもシーヤ、そしたら食べられる魔獣も寄ってこれないんじゃないかな? それはちょっと困るよ」
ショーキが気づいてそう言うと、シーヤは既に対策を考えていた。
「大丈夫だショーキ。俺の遮断で野営地のみに匂いがこもるようにするから、野営地から離れた場所には匂いがしないはずだ」
うん、シーヤの雑学王という職業は本当に役に立つね。
で、テントを張る事になったんだけど、僕とセーナが二人用のテントを張っていたらタマキ以外の三人に止められそうになった。
「ちょっと待て、お前ら。二人でテントに入るつもりか?」(シーヤ)
「それはまだ早いんじゃないかなぁ?」(ショーキ)
「なっ!? 二人で中でナニをするつもりなの!?」(ショーコ)
「ショーキ、私たちも二人用テントにしよう!」(タマキ)
僕はそんな三人に向かって言う。
「えっ!? だってここではレベルアップの為に十日は野営するつもりなんだよ。だから
僕とセーナは既に女神様の前でお互いの恥ずかしい姿を見ているし、その気持ちよさも知ってしまったからね。一人でするよりも二人で一緒に
「なっ!? 確かに…… いや、しかし、それは……」
とシーヤはショーコの方を見る。
「えっ!? えっと、アノ…… あ、アレよ、シーヤがちゃんと紳士でいてくれるなら、わ、私は一緒のテントでも……」
デレた! あのショーコがデレたよ! 貴重な瞬間だね。
「ほら、ショーコもそう言ってるし、タマキはそのつもりだし、早く覚悟を決めないと!」
ダメ押しに僕がそう言うと、シーヤもショーキも一人用のテントをたたみ始めて、二人用のテントを出してくれと僕に要求。僕は快く出して上げたよ。
そして僕たちのレベルアップは始まった。女神セクサローネ様から言われたのは
それでも僕とセーナは毎日、一日に三回、
つまり、レベルアップする日は15上がるんだ。
なので、僕とセーナは十日後にはレベルが85にまで上がっていたんだ。
驚いたのは他の四人のレベルアップだよ。
他の四人は僕やセーナと違って一回に上がるのは3なんだけど……
十日後には全員のレベルが66になってたんだ。一日に四回は
シーヤの雑学王の知識で魔獣の森のかなり奥まで入れるようなレベルになった僕たちは、この野営地を後にする事にしたんだけど、その前にと僕は提案する事に。
「みんな、後十日はここにいようよ。レベルがかなり上がったけど自分たちの技能を確りと確認した方が良いと思うんだ。だからあと十日、技能の検証をして把握してから魔獣の森に入ろうよ」
僕の提案に全員が頷いてくれたよ。そして検証を重ねて僕たちはまたレベルアップしてた……
うん、しょうがないよね。僕たちは健全な青少年なんだから!
そんなこんなで僕たちはとうとう魔獣の森に入る事にしたんだ。シーヤの知識だと既に魔獣の森を抜けて誰も行った事がない場所まで行けるとのことだった。なので、魔獣の森を抜けて未知の場所に向かう事にしたよ。
商業ギルドの年会費? う〜ん…… まあ放っといてもいいかな。僕たちはそう結論づけて先に進む事にしたんだ。
監視して利用しようとする組織に連絡を入れる必要は無いって判断だよ。
「ふう〜…… 俺たちってかなりチートなんだな。いや、ジータとセーナのお陰だな。これで魔獣の森の中でも簡単にはヤられたりしない」
いざ魔獣の森に向かう時にシーヤがそう言うので、僕は素直な気持ちを言ったんだ。
「いやいや、違うよシーヤ。みんなが凄いんだよ。僕もセーナも毎日そう思ってるんだ。シーヤの知識、ショーキの解体作業に乗り物作り、ショーコのバフ、タマキの乗り物の操作、どれをとっても僕やセーナじゃ無理だからね」
そうそう、僕たちは自転車モドキを作ったんだ。といっても作ったのはショーキなんだけどね。シーヤの知識を元にとても強い木をショーコのバフのお陰で切り倒す事が出来たから、その木を利用してショーキに加工をしてもらって自転車モドキを作成した。タイヤなんかはショーキの魔力で作り出して貰ったんだよ。ゴムなんて無さそうだからね。
でも上手く乗れるのはタマキだけだったよ……
こんなデコボコの道のない場所でどうしてあんなに上手に乗れるんだろう?
タマキ曰く技能のお陰らしいんだけどね。まあ、タマキしか乗れないからもっと広くてデコボコしてない乗り回せる場所に着くまではアイテムボックスいきになったんだけどね。
「まあ、俺たち六人が揃ってれば何の問題もなく進めるって事だな!」
「そうだよ、シーヤ。みんなも頼むよ! いよいよ魔獣の森の攻略だよ! そして、未知なる場所に向かおうよ!!」
「「「「「うん!!」」」」」
みんなの元気の良い返事と共に僕たちは出発したんだ。
ちなみに、レベルアップしたシーヤの知識によれば魔獣の森を攻略するのには最低でもレベル100の人が五人必要なんだって。
で、今の僕とセーナのレベルは185で、シーヤ、ショーキ、ショーコ、タマキのレベルは141になってるよ。技能の検証も済んでるから、余裕はかなりあると思ってるんだ。まあ、油断はせずに慎重に進むつもりだけどね。
僕たちは意気揚々と魔獣の森へと足を踏み入れたんだよ。
魔獣の森の奥深くでとある人たちに出会う事になるなんてその時は思わなかったんだけどね。
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