第5話 実は僕たち凄いんじゃない!
ギルドを出た僕たちは東に向かって歩き出した。歩きながらシーヤとショーキに言う。
「早めに僕たち自身についての話合いをしたいよね。何処か誰にも話を聞かれずにすむ場所って無いかな?」
するとシーヤが、
「それじゃ、この先に広場があって噴水があるみたいだからそこで話をしよう。大丈夫、俺の技能で話を聞かれないようにするよ」
なんて言い出したんだ。どうやら商業ギルドに張り出されていた街の地図を覚えたみたいだね。それにしても学者って職業は
それで広場まで行くと本当に噴水があって街の人たちも思い思いに座って喋ったりしていた。
僕たちは女子三人に噴水の縁に腰掛けて貰い、男子三人はその前の地面に座る。
「それじゃ、ちょっと技能を使うよ。遮断」
シーヤがそう言うと周りの声が聞こえなくなったんだ。
「凄いね、シーヤ。こんな凄い技能があるんだ」
僕が素直な気持ちでそう言うとシーヤは照れながらもうんと頷いていた。
「さてと、それじゃ僕とセーナさんの話からするよ」
と僕が言った時に女子三人から待ったがかかった。
「ちょっと待ってジータくん、ううん、ジータ」
(セーナ)
「そうそう、ジータ。私たちもう地球には戻れないじゃない?」
(ショーコ)
「だからもう男子、女子は気にせずに呼び捨てで呼び合いましょうよ」
(タマキ)
その提案に男子三人も乗る事にしたんだ。呼び捨てで呼び合うのって何だかより親しい感じがするからね。
で、その後に僕とセーナの自家発電の事は隠して女神様に会った事を話したんだけど、シーヤには見抜かれてしまい、結局はセーナにも断りを入れて正直に話をしたんだ。
「そっか、恥ずかしい話をさせてゴメンなジータ。でも気にするなよ。俺だってショーコを思って自家発電ぐらいするよ」
さらりと爆弾発言をするシーヤにショーコの顔が真っ赤になる。
「なっ!? 何を言ってるのよ、シーヤ! そ、そんな事を言われたって嬉しくなんかないんだからね! むしろ、キショい!」
だけど僕たち四人はニヤニヤとしてしまう。言葉とは裏腹にショーコの顔は嬉しいのを我慢している顔だからだ。
そんなショーコにシーヤがとどめを刺した。
「ショーコ、ここは地球じゃないから俺も腹を括ったんだ。だからはっきり言うな。この世界で俺にショーコを一生、守らせてくれ!」
プシューッという音が聞こえそうな程に真っ赤になったショーコは、イヤイヤをするように首を横に振っていたけど、セーナとタマキにその小さな背中を撫でられて落ち着いたようだ。
「う、浮気は許さないからねっ!! それに、ホントにちゃんと私を守ってよ!!」
まだ顔は赤いけどショーコがシーヤの想いに応えた瞬間だった。そこで僕はハタと気づく。僕もセーナにちゃんと想いを伝えた方が良いよね。
「あ、あの、セーナ! ぼ、僕がセーナを守るから! だから、一緒にこの世界でチョメチョメ《愛》を広めよう!!」
アレッ? チョメチョメなんて言うつもり無かったんだけど、どうしてだ?
「う、うん! 有難うジータ! 嬉しい! 私もジータと一緒にチョメチョメ《愛》を広めて行くね!!」
セーナからは嬉しい言葉を聞けたけど、セーナもアレッ? って顔をしている。そんな僕たち二人にショーキが言う。
「うん、君ら二人はとてもお似合いだよ。チョメチョメ《いかがわしい事》をこの世界に広めるんだね…… 僕たちは陰ながら応援するから……」
その言葉に僕とセーナは絶対にこの四人も巻き込んでやると目だけで誓いあったんだ。
「まあ、とりあえずは俺たちの職業についてから話をするよ」
その場の空気を察してシーヤが話題を変えてくれた。
「先ずは俺の職業だけど、ギルドでは学者って書いたけど、本当は違うんだ。雑学王ってなっている。多分だけど色々な知識を詰め込んでたからだと思うんだ。でも城での鑑定だと学者ってなってたんだよな。戦闘系じゃ無いからって城を追放されたけどな。レベルは1で使える技能は今のところ二つ。今使ってる遮断と脳裏記憶だ。脳裏記憶は覚えようとして見た物は時間が経っても細部まで思い出せる技能だよ」
次はショーキだった。
「僕の職業はギルドでは物作士って書いたけど、本当は創造師。魔力を利用して物を創造する事が出来るらしい。本当かどうかはまだ作った事がないから分からないけどね。で、今のレベルで使える技能はシーヤと同じく二つ。創造と偽装だよ。実は城での鑑定の時にみんなには偽装をかけたんだ。シーヤにもだよ。だって雑学王の技能は戦闘の役に立つからね。それだと城から出られないと思ったからだよ。あ、僕もレベルは1だよ」
「何だ、ショーキが偽装してくれたんだな」
と納得するシーヤ。
次はショーコ。
「私も家政士って書いたけど、本当は加勢師なの」
と漢字を地面に書いて教えてくれるショーコ。
「で、今使える技能は二つ。私自身とみんなにも身体強化と精神強化をかける事が出来るの。レベルは1だよ。ショーキが偽装してくれた家政士をギルドで書いたんだ」
それからタマキ。
「私は運搬士。でもショーキの偽装のお陰で城では技能がバレなかったから良かった。極大アイテムボックスと運搬に関わる乗り物についてはどんな乗り物でも運転出来る技能があるの。レベルは1だから、今は荷馬車しか運転出来ないみたいだけどね」
うん、みんな凄いや。これなら生活に苦労はしなさそうだね。そして、僕とセーナの番になったので二人で言う。
「僕とセーナの職業はチョメチョメ《総合技能職》だよ。だから技能もチョメチョメ《総合技能》なんだ」
「私とジータのレベルは5なの。女神様からの恩恵で
「でもそれには制限もあって、もしも
「でも
「それでね、僕たちのチョメチョメ《魔法技能》にみんなにも
「なのでみんなも
「だけど僕とセーナとは違って一回の
「ですから早めにこの王国を出て、安心して暮らせる拠点を持ちましょう!!」
僕とセーナの提案に目を丸くして驚いている四人。それでもシーヤが何とか言葉を絞り出した。
「うん、まあ、それは分かったし凄い事だけど、今すぐは無理だよな。それに、その、
「いいや、とりあえず東に向かうフリをして南に向かおうと思ってるよ。あっち方面なら王国からもギルドからも追手は来ないと思うんだ」
「だから野営に必要な物を購入して、ラーエさんの言ってた東行きの乗合馬車に乗って出かけよう」
こうして方針が決まった僕たちはこの国を出るための準備を行う事にしたんだ。
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