第4話 商業ギルドで登録!
僕だけがお兄さん、アルソさんを警戒しながら、案内に従ってやって来たのはちゃんと商業ギルドでした〜……
うん、やっぱり話してみての印象は確かだったよ。アルソさんは良い人でした。疑ってごめんなさい。
そして中にまで着いてきてくれたアルソさん。商業ギルドの受付でお姉さんに僕たちのギルド登録と口座開設の手続きをしてやってくれと頼んでくれた。
「アルソさん、人が好いのも程々にね」
なんてお姉さんに言われてたけど、僕たちにとっては本当に助かる出来事だったのでアルソさんに六人でちゃんとお礼を述べた。
「いいんだ、気にするな。俺は若い子らが変な大人に無茶をされるのが大嫌いでな。だから出来る事はしてやろうって思ってやってるんだ。少年たちだけに特別にしてるわけじゃないから気にしなくて良いぞ」
アルソさんはそう言うと「屋台をシゲにいに任せてるからもう行くな」と言ってギルドを出ていった。その背中に頭を下げる僕たち。
「さっ、それでは皆さん。ギルドに登録しましょうね。二人を除いて皆さん召喚された勇者様でしょ? それもあのワガママ王女に城から追放されたんでしょ。商業ギルドを統括してるのは商業国家であるアキナインだから安心してね。この王国とは関係ない事はないけど王族や貴族から何かしらの手出しがあっても言ってくれたら守れるからね」
お姉さんに登録をお願いすると直ぐにこうして話してくれた。ああ、僕と聖奈さんはこちらの世界の衣服を着てるからだね。真也たちは地球の服のままだからだ。
「登録するにあたって皆さんは名前だけで登録するのが良いと思うわ。皆さん異世界人には名字があるのは私たちも知ってるけれども目立ちたくないんでしょ?」
「はい、その通りです。名前だけで登録するようにします」
「それじゃ、人数も多いしあちらの部屋で手続きしましょう。先に入って待っててちょうだい。書類を持って行くから」
お姉さんに言われて僕たちは指さされた部屋に向かい中に入る。中は四人がけテーブルが二つ置いてある部屋だった。
「お待たせ」
そう言ってお姉さんが入ってきて、一つのテーブルに書類を置く。何だか枚数が多いみたいだぞ。
「それでは改めまして商業ギルドにようこそ。私は受付窓口勤めのラーエと言います。先ずはこちらの書類に記入してください」
とお姉さんが差し出した書類には名前と年齢、性別、レベルを書き、その下に職業や書ける範囲で技能を書くようになっていた。
「隠しておきたいなら職業も技能も書かなくても大丈夫ですよ。それか適当な職業を書くのもありです。それでもあなた達は登録出来ます。追放された勇者様への優遇措置だとギルド規定で決まっていますので」
で僕はジータ、真也はシーヤ、将貴はショーキ、聖奈さんはセーナ、笙子さんはショーコ、珠季さんはタマキで登録した。僕とセーナさんは職業がチョメチョメだから書かなかったけど、シーヤは学者、ショーキは物作士、ショーコさんは家政士、タマキさんは運搬士って職業欄に書いている。
後でみんなにどんな職業なのか聞いてみよう。
「はい。それじゃこれで登録しますね。ちょっと席をはずさせて貰います。ギルドカードと皆さんの口座を作ってきますね。あ、この部屋での会話は外に漏れる事はありませんので安心して喋ってね」
そう言ってラーエさんは出ていった。そこで僕が話しだそうとしたらシーヤが口に指を当てて喋るなっていうジェスチャーをしたので、結局は職業については聞かずにお金についての話をしたんだ。
「このお金、いくら預けていくら手元に置いておこうか?」
「二十五万テンを預けて五万テンを手元に持っておくのはどうかしら?」
僕の質問にセーナさんがそう提案してくれた。みんなを見るとそれで良いって感じで頷いている。なのでそうする事に決めた。五万テンのうち、四万テンは両替して貰う事も決めた。
どこまで細かいお金がこの世界にあるのか分からないけどね。
「失礼します、お待たせしました」
ノックの後にラーエさんが部屋に入ってきた。
「はい、こちらが皆さんのギルドカードです。口座への入出金にも必要ですから無くさないようにお願いしますね。それと、言い忘れてましたが、登録に関しては千テンの費用がかかります。大事な事を伝え忘れていて申し訳ありません」
まあそんな事もあるよね。僕たちは大丈夫ですと返事をして、二十五万テンを口座に入れたいと伝え、四万テンを両替して欲しいとお願いした。
「はい、分かりました。それじゃこちらに魔道具を持って参ります」
ラーエさんは再び部屋を出ていったけど直ぐに戻ってきた。
「それではお一人ずつお金とギルドカードを出していただけますか?」
そう言われて先ずは僕が二十五万テンとギルドカードをラーエさんに手渡す。
それをラーエさんは持ってきた魔道具に入れた。正確には入れたのはギルドカードでお金は上に置いたんだけどね。
魔道具の上に置いたお金が消えるとギルドカードが出てきた。
「はい、これでジータ様の口座に二十五万テンが入っております。カードの裏面をご覧ください」
言われて見ると口座と書かれた文字の下に二十五万テンと記入されている。
「そちらはカードの持ち主しか見えないようになってますからご安心ください。口座のお金はどこの商業ギルドでも入出金できますので」
六人全員の入金が終わり、両替も滞りなく終わった。この世界の最低額は十テン硬貨。次に百テン硬貨、五百テン紙幣、千テン紙幣、五千テン紙幣、一万テン紙幣、百万テン金貨だというのも教えて貰えた。それから、商業ギルドに登録したけど僕たち勇者は商売義務は無いそうだ。
但し、最低でも年に一回はどこかの商業ギルドに顔を出して年会費を支払って欲しいとのことだった。年会費は勇者様優遇措置により三千テンらしい。口座引き落としも可能らしいけど、それだと生死が不明で口座をいつまで維持しておけば良いか分からないから、五十年前からそう決まったとのこと。
僕たちは分かりましたと言って今度は違う国の情報をラーエさんに聞いてみる事にした。
「このパイプカット王国以外の国の事ですね。それでは地図をお持ちします。それを見ながら説明致しますね」
そして、ラーエさんは机一杯に広がる大きな地図を持ってきた。
「こちらをご覧ください。六年前に召喚された勇者様が書かれた地図です。この大陸がパイプカット王国がある大陸となります。ここがパイプカット王国です。そして、東隣の国はヒーニンゴム神聖国、西隣の国はピルー薬王国です。北には国はなくて、イチモツ山がそびえ立っております。イチモツ山を越えるとホトアワビ女真国です。南は魔獣の森が広がっています。魔獣の森は誰も抜けた事がないので、その先については分かっていません。勇者様でも抜けられなかったそうなので…… それで、西のピルー薬王国の更に西には商業国アキナインと、職人国クラフトマンがあります。その西は海を挟んでもう一つの大陸となります。そちらについても誰も行った事がないので大陸があるとしか分かってません」
地図を見ながらそう説明をしてくれるラーエさん。僕がシーヤをチラッと見ると確りと頷いたから、ラーエさんに教えて下さって有難うございますとお礼を述べて、とりあえず東のヒーニンゴム神聖国を目指しますとラーエさんに伝えギルドを出た。
さてと、どうしようかな?
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