第3話 いざ、情報収集へ!

 僕たちは何事もなく街にたどり着いた。どうやら渡したお金を取り戻しに追手なんかは出してないようだ。

 先ずはこの貰ったお金の価値を知りたいな。


 ここで僕と聖奈さんを含めて、仲間を紹介しておこうと思う。先ずは僕自身から。 


【男子】

藪神次太やぶがみつぎた、十五歳。

身長百六十七センチ、体重五十キロの少し痩せ気味。頭はまあ良い方で、運動もソコソコは出来る。良く言えば万能、悪く言えば器用貧乏タイプ。

金神聖奈かなかみせいなさんに片想いと思ってたけど、今回の召喚で両想いだと分かって内心ではとても嬉しく思っている。

両親は忙しく、顔を本当にたまにしか合わさないので実は両親の顔を良く覚えてなかったりする。

妄想たくましく、いつも聖奈さんで自家発電を行っている、健全な青少年。


田神真也たがみしんや、十五歳。

身長百七十三センチ、体重六十キロの標準体型。学校の勉強は苦手だが頭が悪い訳ではなく、色々な物事を深く考察出来るタイプ。運動はどちらかと言えば苦手。近眼で眼鏡をかけている。

どうしてそんな事を知ってるのか? というような知識をとても豊富に得ている。

今回、一緒に追放された皆神笙子みなかみしょうこさんに片想い中である。


六神将貴むがみしょうき、十四歳(二月生)。

身長百六十センチ、体重六十五キロのちょい肥満と言われるけど、実はほぼ筋肉なので肥満には見えない。頭はそれほど良くないが、手先がとてつもなく器用である。普段から明るい青少年だ。

今回一緒に追放された六神珠季むかみたまきさんとは血の繋がらない姉弟きょうだいである。

実は親に内緒で二人は付き合っている。


【女子】

金神聖奈かなかみせいな、十五歳。

身長百五十二センチ、体重四十三キロで目はパッチリ二重の可愛らしい顔立ちである。

隣の席に座る次太が好きで好きで、いつもチラチラ見ていた女子。次太がクラスメートたちから押し付けられて委員長になった時に副委員長になると名乗り出た。頭の良い次太と同じ高校に入りたいと思い勉強も頑張る努力の女子。

妄想逞しく、いつも次太を想って自家発電に励む健全な女子中学生である。


皆神笙子みなかみしょうこ、十四歳(三月生)。

身長百四十二センチ、体重四十キロで六人の中では癒しキャラ扱いの女子。

背の高い男子が好みで実は真也くんLOVEなのだが素直に言い出せないツンの要素を持つ。笙子と真也以外の四人は二人の気持ちに気づいているが、何も言わずにそっと見守っている面白がっている

小さいけれども祖父から家に伝わる武術を学び、その辺の男子よりも強かったりする。


六神珠季むかみたまき、十五歳。

身長百五十七センチ、体重五十三キロで女子にしては重いとクラスメートたちから言われるが、実は将貴と一緒に筋トレをしているからである。

三歳の頃に将貴の父親が運転する車により両親が事故死したのち、親戚中をたらい回しされていたのを知った将貴の父が、恨まれているだろうがせめて成人するまでは面倒を見たいと申し出て五歳の時に引き取られた。

珠季自身は引き取られた当初は恨みもあったが、普通に我が子として接してくれる将貴の両親に今では感謝している。

弟として一緒に暮らしていた将貴から告白されて、付き合うようになった。

他の四人は二人が付き合うことを応援している。



 六人とも名字に神の一文字がついてるんだ。だからなのかは知らないけれども僕たちは一緒にいて居心地がとても良いと思ってる。

 で、五神連盟ごしんれんめいなんて僕と二人の男子で勝手に言ってるんだけど、女子からは不人気なんだよね。

 まあ男のロマン厨二病だから女子には分からなくてもしょうがないよね。


 さて、街に着いたよ。真也に聞けばまだ午前中らしいんだけど、僕たちは小腹が空いたのもあって屋台で串焼きが売られているのを見て買い物をしてみる事にしたんだ。貰ったお金の価値を知る為でもある。


「おじさん、一人一本ずつ欲しいんだけど、一本いくら?」


「ああ〜ん、このお兄さんを捕まえておじさんと呼ぶ少年たちの分は一本千テンだな。お嬢ちゃんたちは一本三百テンでいいぞ」


 しまったーっ!! よく見ればアゴヒゲはあるけど若いお兄さんだった。僕たち三人の男子が困った顔をしていたら、


「あの、カッコいいお兄さん。きっと優しい人だと思うので、謝りますから男子の分も同じ金額にしてもらえませんか?」


 目をウルウルさせながら笙子さんがお兄さんに頼むと、お兄さんは困ったように頭をガリガリとかきながら


「おいおい、冗談で言ったのに真に受けるなよ。もちろん、全員、一本三百テンで良いぞ。だから泣くなよお嬢ちゃん」


 と困った顔のまま少しだけ笑みを見せてそう言ってくれた。


「ごめんなさい。僕たちの生まれ故郷だと若い人でヒゲを伸ばしてる人があまり居なかったから間違えました」


 真也がそう言って謝るのに合わせて僕と将貴も頭を下げた。


「いやいや、真面目かお前ら! そんなに謝らなくていいから、なっ、ほら、食え。俺の焼いてる串焼きは上手いぞ」


 串焼きを六本差し出してくれるお兄さんに代表して僕が貰った袋から紙幣を出すと、


「オイ、一万テン札かよ! お釣りがねえぞ……」


 とお兄さんに言われてしまった。でもこのお札しか入ってないからどうしようかと思ったら、お兄さんが向かいの屋台のオジサン(今度は間違いなく)に声をかける。


「シゲにい、八千二百テンあるか?」


「おう、あるぞ。どれ、貸しだぞ、アルソ」


「おう、済まねえ。覚えてたら返すわ」


「ちゃんと返せよ…… ミナちゃんに言うぞ」


 なんてやり取りをしながらお兄さんはオジサンからお金を受け取り僕に手渡した。


「いいか、少年。一万テン札はこんな屋台で出すもんじゃない。早めに商業ギルドに行って細かいお金にしてもらうんだ。じゃないと悪い奴が見てたら奪われる事になるぞ」


 そう忠告をしてくれたお兄さんにお礼を言いながら商業ギルドの場所を聞くと、お兄さんはオジサンに声をかける。


「シゲにい、ちょっと頼むわ。俺はこの子たちを商業ギルドに案内してくる」


「ええっ!? そんな、悪いから良いですよ。場所だけ教えてください」


 驚いてお兄さんにそう言うけど、お兄さんはコソッと僕たちに教えてくれた。


「いいか、振り向くなよ。少年たちの後ろに目つきの悪い奴が一人いる。そいつらはここから少年たちが離れたら後をつけて金を奪う算段をするような奴だ。だから、俺が商業ギルドまで案内してやるから、口座を作って持ってる金を最低限にして残りは預けるんだ。あいつらも金を預けたと分かったら追ってはこないからな。直ぐに手に入る現金じゃないと奪わないんだ」 


 どうやら僕たちが考えるよりも異世界の治安は悪いみたいだね。でも、このお兄さんはどうしてそこまで僕たちにしてくれるんだろうか?

 ひょっとして親切を装ってるけど後ろの人たちの仲間かも知れないし、僕だけでもちゃんと警戒しておこう。



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