第2話 こんな王国からはオサラバだ!
かくして僕たち二人はクラスメートたちが召喚された場所に、全裸の僕が後ろから聖奈さんにピッタリとくっついて、聖奈さんのチョメチョメをTシャツで隠した状態のまま運ばれてしまった……
「キッ、キャーッ!? せ、聖奈さんが次太くんに襲われてるわ!!」
「おい! 次太! いくら異世界で羽目を外したいからって、いきなりそんな!! 秀才で紳士でもあったお前は何処に行ったんだっ!!」
もうクラスメートからは僕が悪いのが確定してるみたいな言われ方。聖奈さんが一所懸命に僕の擁護をしてくれてます。
「あ、あの、みんな、コレは違うの! 私も次太くんも召喚されようとした時に私はお風呂に入ろうと服を脱いでる途中だって、次太くんもお風呂に入ろうと最後のTシャツを脱いで手に持ってたらしいの。私たち二人は恥ずかしい格好で呼び出されようとしてたから、神様が少しだけ時間をくれたんだけど、手から離してた服は呼び出せないって言われて…… それで次太くんは手にしてたTシャツで私のチョメチョメを隠してくれたの…… ホントだよ!!」
けれどもこの完璧な聖奈さんの言い訳にも邪推するクラスメートもいたりして……
クラス
「おいおい、クラス委員長と副委員長が不純異性交遊ってか? こりゃ風紀委員案件だよな、ハハッ」
「本当だな、光輔。次太は家で自慰ばっかりしてるだろうから自慰太って言ってたけどまさかその先まで進んでたとはな〜、それは俺らもビックリだよ、ハハハ」
「何よ、聖奈って清純そうに見せかけて淫乱だったのね。聖なるじゃなくて性癖の性の字で性奈って名前に変えて呼ばなきゃね、キャハハハ」
「詩、そんな事いったら可哀想じゃない。性なる聖奈で性女って事にしといて上げなよ。男なら誰にでも股を開く名誉ある性女って事にね、アハハハ」
そんな揶揄いの言葉に僕が反論しようとしたけれども、一人の女性の声によって遮られた。
「はい、そこまでですわ。それではこれで皆様お揃いですね。遅れて来られたお二人に何かお召し物をお持ちなさい、レミ。お二人には簡単に説明をさせていただきます。詳しい話は後でお友だちに確認して下さいませ。先ず、ワタクシがあなた達を召喚しました、ここパイプカット王国の第一王女でセフレーヌ·パイプカットと申します。どうぞセフレとお呼びくださいませ。何故、あなた達を召喚したかと申しますと、ワタクシたちの王国は魔族からの脅威に晒されております。魔族たちは強大でワタクシたちの兵力では民たちに甚大なる被害をもたらしてしまうのです。そこで、あなた達を異世界より召喚させていただきました。異世界から来られる方たちは皆様、ほとんどの方が強い力をお持ちになっておられます。その力をワタクシたちに貸していただきます。勿論ですが、魔族を退けたならば元の世界にお戻し致します。ですのでよろしくお願い致しますわ。では、お二人にも鑑定を受けていただきますわね。ジレン」
「ハッ、姫殿下! それではこちらの水晶に手を翳していただけますか?」
ジレンと呼ばれた男性が聖奈さんに水晶を差し出した。それに手を翳す聖奈さん。
「チョ、チョメチョメ? まあ、とりあえず後ろの方も手を翳していただけますか?」
どうやら聖奈さんのステータスにチョメチョメと出たようだ。促されて僕も手を翳す。
「まっ、またっ!? チョメチョメとは一体?」
「どうしたの、ジレン? お二人の職業は何だったの?」
「ハッ、姫殿下。お二人とも職業はチョメチョメとなっております。が、私もそのような職業は知りませんので…… 何の役にも立たないかと存じます」
「そう…… それではお二人はあちらの左側にご移動くださいませ。先ずは右側の方たちを部屋にご案内してちょうだい、ハルク」
「ハイ、姫殿下。それではこちらの方たちは私に着いてきてくれ」
ハルクと呼ばれた男性に声をかけられたのはクラスメート三十三人中、二十七人。左側にいた四人と僕と聖奈さんは別になるようだ。
そう思ってたらレミと呼ばれた女性が服を持ってきてくれた。そして、コソッと言う。
「あなた、逞しいモノを持ってるわね。私で良ければ今晩にでもお相手するわよ」
その言葉は聖奈さんにも聞こえたようで、そこで聖奈さんがやらかしてしまった。
「ダメッ! 次太くんのチョメチョメは私のチョメチョメ専用なんだから!!」
うん、二十七人が出ていった後で良かった。残った四人は幸いにも僕や聖奈さんの親友たちだから変な揶揄いはしないと思う。
「まあ、そうだったの。残念だわ。でも気が向いたらお願いね」
言うだけ言ってレミさんは離れていった。そして、僕と聖奈さんが服を着るのを待ってセフレ王女が言う。
「それでは残った六人の方は城から出ていって貰います。あなた達は戦闘には役に立たない職業ですので、当面の生活費として一人五十万テンをお渡ししますので、どうぞお好きな場所でお暮らしくださいませ」
「ちょっと待ってください、セフレ王女。僕たちは元の世界に戻れないのですか?」
この質問は僕の親友の一人、
「ウフフフ、そうですね。あなた達はもう先の二十七人に会うことも無いでしょうから真実をお話しておきましょう。元に戻す手段など初めからありませんわ。あなた達はもはやワタクシたちの世界で生きていくしかございませんのよ。では、どうぞお達者で! サーベント、六人をご案内しなさい!!」
「ハッ! 姫殿下! さあ、お前たち。こっちだ、着いてこい!」
僕たち六人はサーベントと呼ばれた男性についていき、お城の門まで案内された。その際にサーベントから六つの袋を渡される。
「姫殿下は五十万テンと仰ったが、ここまで案内した案内料を一人二十万テンずつ支払って貰ったのでな。中は三十万テンずつだ。では、達者で暮らせよ。ハハハハ!」
笑いながら中に戻るサーベントを見やってから、僕は五人に言った。
「とりあえず、自由の身になれたんだから一刻も早くこの王国から出よう。これからの事はこの王国を出てから決めようよ」
僕の言葉に五人は何も言わずに頷いてくれた。なので、僕たちはお城から離れて眼下に見える街に向かった。
街で情報収集をして、この王国から出ていく為に。
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