第7話
ここがどこだと言われましても。
「屋上じゃん」
即答すれば「、は」と。藍髪が気味の悪い笑みを止めた。
そして酷く驚いた表情であたしを凝視する。
「……おめえ、マジで言ってんの?」
「ま、マジだけど」
なんだ、この驚きようは。
どこって言われても……うん。やっぱ屋上だわ。
「ちょっと二人とも、どうかした?」
今度は藍髪の横からまた別の男が現れた。
あたしを見て「え、女の子?」と眉をひそめる色白の彼は、絵本に出てくる王子様みたいにキラキラしていた。
身長は赤髪よりも低く、170cmくらい。
色素の薄い茶色の瞳に、髪は……はい、次は深緑色ですね。
赤、青ときて今度は緑。
不良校って髪色が派手な生徒しかいないのかよ。
あたしも前髪の一部を青く染めてるとはいえ、ほぼ黒髪だ。全体染めの方が良かったかなぁ。
「えーと、……誰?」
髪色について考えていたら、深緑髪が困惑しながらも優しい声で尋ねてきた。
いや、答えるのはぜーんぜん問題ないんだけどさ。
「……そろそろ離してくれない?」
まだ赤髪に胸ぐらを掴まれている。
この状態、結構苦しいから早く手を離してほしい。
「あ、茜!? 何やってんの!」
今更気づいたのか、深緑髪が目を丸くして『アカネ』と呼んだ赤髪の腕を叩く……というか殴る。
それと同時に手が離れ、ようやく息がしやすくなった。
「こいつがドアを、「本当にごめんね!」
赤髪の言い訳を遮って、深緑髪が頭を下げる。
「え、いや元はと言えばあたしが悪いし……」
「それでも本当にごめん! 怖がらせちゃったよね」
…………怖がらせる?
心配そうな顔でこちらを伺う彼。
そうか。急に男に胸ぐらを掴まれたら普通は怖がるか。
「う、うん。さっきは本当に怖くて怖くて──」
「……いきなり何言ってんだよ。真顔で離せとか言ってたじゃねェか」
「ほーんと。肩まで震わせちゃって、演技うまいんだな〜?」
「……」
あたしの渾身の演技は、あっさり見破られてしまった。
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