第6話 屋敷の中の鬼灯

 柔らかい茶色で、鬼燈の形をしたランプに包まれた電球は優しく光り輝き、蔦を再現したかのようなしなやかさのある持ち手には、ニスの残り香がきらりと落ち着かせる。スカートの折り目を気にしながら、なるべく優しく抑えて屈み、柔らかい絨毯にランプをそっと置いた。

 そして一人立って廊下をあるいていった。窓には枯れた木、濃い霧、霞んだ月の夜。絵画のように配置されていると感じるのはこの東棟の2階の窓だけ。見つめた後、またランプを持ち直してゆっくり階段を降りていく。1階にいくのではなく、踊り場で止まった。私の身長をゆうに超える鏡が目当てである。

 胸元のルビーが燦々と鮮烈に輝いていた。それだけで満足なのだ。そっと手を当て摘んでなめるように四方八方から眺める。鏡に移ったルビー、ルビーに写った鏡、鏡の中の私の目。映すものはたくさんある。いつか絵師を呼んで形に残してもらおう。彼らはどんな色をこの宝石に当てるのか、考えるだけで切なく美しい世界へ溺れることができる。

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