第6話 屋敷の中の鬼灯
柔らかい茶色で、鬼燈の形をしたランプに包まれた電球は優しく光り輝き、蔦を再現したかのようなしなやかさのある持ち手には、ニスの残り香がきらりと落ち着かせる。スカートの折り目を気にしながら、なるべく優しく抑えて屈み、柔らかい絨毯にランプをそっと置いた。
そして一人立って廊下をあるいていった。窓には枯れた木、濃い霧、霞んだ月の夜。絵画のように配置されていると感じるのはこの東棟の2階の窓だけ。見つめた後、またランプを持ち直してゆっくり階段を降りていく。1階にいくのではなく、踊り場で止まった。私の身長をゆうに超える鏡が目当てである。
胸元のルビーが燦々と鮮烈に輝いていた。それだけで満足なのだ。そっと手を当て摘んでなめるように四方八方から眺める。鏡に移ったルビー、ルビーに写った鏡、鏡の中の私の目。映すものはたくさんある。いつか絵師を呼んで形に残してもらおう。彼らはどんな色をこの宝石に当てるのか、考えるだけで切なく美しい世界へ溺れることができる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます