第4話「初めての冒険」
俺の名前は高橋翔太。普通の冒険者を目指すが現在は無職だ。なんせ異世界に来てまだ数日なのだ。
影の力を操れるようになってから、俺の心には期待感が広がっていた。毎日ルーカスからの訓練を受け、エルナと共に練習を重ねる中で、少しずつ自分に自信が持てるようになってきた。今日こそ、本格的な冒険の一歩を踏み出す日になるかもしれない。
「ショウタ。準備はできた?」
エルナが村の広場で待っている。彼女の目は輝いていて、今日は特別な日だということが伝わってくる。
「ああ。できたよ」
俺も気合を入れる。今日はルーカスの紹介で、初めての依頼に挑戦することになった。依頼内容は、村の近くに出没する小さな魔物を退治すること。自分の力を試す良い機会だ。
広場に集まった人々の中に、依頼主である村の長老がいた。彼は白髪で、穏やかな表情を浮かべている。俺たちが近づくと、長老は微笑んでくれた。
「君たちが若い冒険者たちか。助けに来てくれてありがとう」
長老が俺達にそう言う。
「最近、村の周りに小さな魔物が出現して、住民たちが困っているんだ。できれば、その魔物を退治してほしい」
その言葉に、俺は緊張しつつも胸が高鳴る。これが冒険者としての第一歩なんだと思うと、少し誇らしい気持ちになる。
「わかりました。必ず退治してきます」
俺は力強く答えた。
「頼んだぞ。若者たちよ」
長老は頷く。
エルナと共に、ルーカスが先導する形で村を出発する。周囲には緑が広がり、陽の光が木々の間から差し込んでいる。心地よい風が吹き抜け、少しずつ緊張も和らいでくる。
「ショウタ。頑張ろうね」
エルナが微笑む。その言葉が俺の背中を押してくれる。
魔物が出現しているという場所に到着すると、森の静けさが一変した。周囲には異様な気配が漂い、空気が重く感じる。
「ここだ。気をつけろ、魔物が出てくるかもしれない」
ルーカスが警戒を促す。
その瞬間、目の前から小さな魔物が飛び出してきた。灰色の皮膚に大きな目を持ち、鋭い牙がむき出しになっている。心臓がドキリとする。これが、噂の魔物か。
「ショウタ。影を使え。動きを封じるんだ」
ルーカスが指示を出す。
「わ、わかった」
俺は慌てて影を集める。影が魔物に向かって伸びていくのを感じた。心を落ち着け、影に意志を込める。
「動け、影よ」
影が魔物を包み込み、動きを止める。その瞬間、安心感が広がった。ルーカスが剣を振り下ろし、魔物に一撃を加える。俺も続けて影を強くする。魔物がもがいているのを見て、少しだけ恐怖が和らぐ。
「エルナ、射撃準備」
ルーカスの声に、エルナが弓を構える。彼女は真剣な眼差しを向け、弓を引いた。
「行くよ」
エルナの声が響き、矢が飛び出す。見事に魔物の肩を貫いた。魔物は悲鳴を上げて地面に倒れ込む。
「やった」
俺も思わず叫んだ。
勝利の喜びがこみ上げてくるが、すぐに気を引き締める。周囲を警戒し、他に魔物がいないか確認しながら、俺たちは慎重に行動した。
「これで大丈夫そうだな。村に戻って報告しよう」
ルーカスが言った。
村に帰る途中、俺の心には達成感が広がっていた。初めての依頼を成功させた。仲間と共に力を合わせて、勝ち取った勝利だ。
村に戻ると、長老が待っていた。
「やってくれたのか?」
長老は期待の眼差しを向けてくる。
「はい、退治してきました」
俺は誇らしげに報告した。
長老は満足げに頷く。
「素晴らしい。君たちのおかげで村は安全になった。これからも頼りにしているよ」
そう言ってくれた。
その瞬間、仲間たちと視線を交わし、笑顔を浮かべた。俺たちは一緒に成長し、これからも冒険を続けていくのだ。心の奥底で感じる希望が、ますます強くなっていく。
これが俺の冒険者としての第一歩。次はどんな挑戦が待っているのか、ワクワクが止まらない。
異世界での無職生活:隠れた能力を覚醒せよ @kunimitu0801
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