Jurer Duex

柊 こころ

選択


「5週目です。」





目眩で倒れ、最近どうも吐き気がした。


そういえば、2ヶ月生理も来ていなかった。


『最後にヤッたの、いつだっけ…』

遊び呆けてた私の中に

命が宿った。



「誰の子なんだろう。」


5週目と言われても

エコー写真を見ても

何も実感が無かった。


むしろ、子供出来るんだって。


ただ、そう思ってた。






日に日に強くなる悪阻。


そして私は食べづわりで

ワカメしか食べられなかった。



「誰かわかんなかったら

産む意味無いんだよなー。」


って、最低な発言をしながら

ゆっくり時を戻して考えた。







私の子供は

レイプで出来た子供だった。


日付と生理予定を辿って

気づいた。


あの時はいきなり

蹴って、殴られて、意識が無くなって

『起きろ!!!』

その声で起きたと思ったら


また、蹴って殴られる。


そんな事をされて失神して

レイプをされていたんだ。



警察なんて役たたずで

なんの意味も無く、体液を取られ

殴られ蹴られの話をして


相手を突き止める事もなかった。



本当に、強いのは

自分の意思だけなんだと思った。



刻一刻と、日にちが過ぎる。

もちろん、お腹の子も大きくなる。



キャバクラで働いていた私は焦り

でも中絶のお金も用意出来ず

友人に相談した。



そこで貰ったのが

経口中絶薬だったんだ。


今は認可されているが

当時は禁止だった。


「本当に考えてから使いな」

と、友人に背中を押された。

押されたという言い方はおかしい、か。




「これ、心臓動いてるのわかる?」


あぁ、本当に宿っている。


母性本能というのは

こういうものなのかと、感じたんだ。



「養子縁組…か」




答えは2択だった。


口から飲む中絶薬か

養子縁組の為に出産か。





すごい悩んだ。



悩んだ答えは






中絶だった。



仮に養子縁組になったとしよう。

子供が大きくなって

親が育ての親というだけで

生みの親を探した時。


自分が全て悪いのだが

殺められてしまうのではないか?


怖くなってしまった。



中絶ほど怖いはなく

でも意思は固くした。



『ごめんね』



「心臓が元気ないみたいです。

あと、15週目の割に体が小さいですね。」


精神科の薬を飲んでいるからか

育つのが人一倍遅かった。



と、思った。




決断の時。

まず口から、子宮口を開く薬を

3日間投与した。


そして3日目の昼に

陣痛を起こさせる薬を入れた。




直ぐに破水して

今まで感じた事のない痛みに襲われる。


私の選択は大丈夫だったのだろうか?





そんな思いをしながら12時間

痛みに耐えながら、トイレを往復した。




2020.2.7


私は、トイレで力み

命を落とした。



ところが、出血があまりにも止まらない

その上、私はA型Rh-だ。


今度は怖い気持ちになる。

そんなもの、自業自得だ。



救急車を呼び

ホスピタルへ運ばれた私は


「完全流産ですね。」と片付けられ


Rh-専用の注射もせず

一生、産めない身体になった。




自業自得の人生。


貴女がもし、私と同じだったら



どの道を選択しますか?

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Jurer Duex 柊 こころ @viola666

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