第142話

一応は付き合うことになったものの、私から連絡する勇気が出せずにいた。



木嶋さんからもなんの連絡もなくて、このままあの告白もなかったことにされてしまうのではないかと不安は募るばかりで。



このままじゃまずいと思いつつも、連絡した後やっぱり交際を断られるんじゃないかと思うと怖くて何も動けなかった。



それからずるずると3週間が過ぎたころ。




突然木嶋さんからメールが届いた。





“今週の日曜日、空いてる?” ーーーと。





私はそれにすぐに返事を返した。



そして今日に至る。








「メールで誘うのだって緊張したんだ」



「そんな、木嶋さんが・・・・」




私なんて緊張してもらうほどの女でもないというのに。





「だいたい突然あんなふうに公衆のど真ん中で告白してきたくせに、いざ付き合うことになったら何の音沙汰もなくてさ」



「うっ・・・・すみません」




「これって計算してやってるのかなって思ったよ」



「計算だなんてそんな・・・・!」



「わかってるよ。皆原さんがそういうこと出来る器用なタイプじゃないんだろうなってことはね。だけど俺が勝手にまんまと、あれからずっと携帯が気になっちゃって」




・・・・それって。



まるで私からの連絡を待ってた、みたいに聞こえるんですけど。



もちろん、そこに特別な感情がないことはわかってるけど。木嶋さん相手に、そんな簡単に自惚れたりなんかしないし。





だけどそれでも・・・・嬉しいかも。





「・・・・怖かったんです。私と付き合うことになったこと、後悔してるんじゃないかって」



「俺は後悔してるのは皆原さんのほうだと思ってたよ」



「え・・・・?!」



「やっぱりこんな男と付き合うのは面倒になったのかもって」



「後悔なんてそんなっ!私は付き合えて嬉しかったんです!すごく!」




いろいろとごちゃごちゃ悩んでしまったけど、なんだかんだ言ってもやはり木嶋さんと付き合えることになったことは嬉しかった。



喜びの気持ちが一番強かったんだ。




「木嶋さんからメールもらえた時はもう死ぬほど嬉しかったし、今日だって私がどれだけ楽しみにしていたか・・・・!」

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