第119話

「・・・・本当はこんなとき、手を繋いであげるのが普通なんだろうけど」








上から落ちた希和の声に顔を上げると。










「彼女に悲しい思いはさせたくないから」









そこには、はにかむように笑う希和の顔があった。











その眩しすぎる笑みと、



愛する人を心から大切に想う希和に。






ーーー私は瞬く間に恋に落ちたのだ。











けれど同時にそれは、




永遠に叶うことのない恋の始まりでもあった。








だって私は、浅見先輩を好きな穂高先輩を好きになってしまったのだから。









すべてはわかっていたこと。





最初から、どうしようもない恋だったんだ。

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