第5章

第118話

初めて出逢ったあの文化祭で、





「着いておいで」





そう言って一緒に逸れた友達を探してくれようとした希和。



けれど激しい人混みの中、今度は一歩先を歩いていた希和とも逸れそうになった。








それに気づいて見兼ねた希和が、






「ねえ、ここ掴んで」




「え・・・?」






そう言って指差したのは、希和の制服のジャケットの裾だった。






「ここ、ですか?」




「うん。君と俺が逸れたら意味ないから」







それはわかるんだけど、こんなところを掴んでいいの?



そう思いながらも、言われた通りに裾の端のほうをぎゅっと掴んだ。





確かにこれならこの人混みの中でも逸れないだろう。




だけど客観的に見たらすごく可笑しな構図だと思う。

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