第44話
「・・・・っ、待って希和」
ホックを外した手が前へと移動し、胸もとを覆う。
私は服の上から希和のその手を掴んだ。
「メイク、落としたい」
「あとでいいよ」
「でも、」
「終わったらいつもすぐ寝ちゃうから?」
しっかりと胸をホールドした手は、休むことなく動き続ける。
「ん・・・っ、メイクしたまま寝たくないの」
美肌の為にというより、どろどろに崩れたメイクが、酷い寝顔にさらに拍車をかけてしまうことが気になった。
「終わっても寝かせないようにする。もうちょっとキラキラの史を見ていたいし」
キラキラの私って・・・・。
私の願いをどうしたって受け入れる気はないようで、そのまま口を塞がれた。
希和は普段はレディファーストという言葉がぴったりなように優しいけれど、こんな風に強引なところもあった。
ときどき覗かせるちょっぴり俺様な希和に、またドキドキさせられるんだ。
ソファに座った希和の上に、向かい合う形で跨がる。
永遠に続きそうなほど長く貪るキスに、体内のアルコールが急速に回った。
すでに脱がされたブラウスもスカートも、床に乱雑に散らばっている。
「・・・・希和も脱いで。私だけなんてずるい」
ここがリビングだということも、明るすぎる部屋の照明も諦めた。
だけど、私だけが下の下着しか身につけていないこの状況だけは納得がいかなかった。
「史が脱がせてよ」
熱と吐息が入り混じる声に、きゅっと子宮が疼く。
希和の綺麗な顔にほんのりと滲む汗を見つけ、少し泣きそうになる。
「どうしてそうやって私を誘惑するの?」
「は?」
希和がぱちぱちと瞬きを繰り返した。
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