第43話
「だけど、すっぴんの史もいいんだよね。特に寝顔。口がちょっと半開きで可愛いんだ」
「はっ、はん・・・・・・・?!」
思わず手で口を覆う。
口が半開き・・・・・・・・?!
「いつも史の寝顔を見るのが、俺の至福の時間だったりするんだよね」
嘘でしょ。
そんな酷い寝顔を、今までずっと希和に晒してたの?
ショックだ。ショック過ぎる・・・・。
「もうやだ、もう希和の前で眠りたくない」
「なんで?可愛い寝顔だって言ってるのに」
「どこが?そんなの女として終わってるよ」
「そんなことない。史のその無防備さがいいんだよ」
ふっと希和が笑った。
「俺の前でだけ完全に心を許しきってる感じがして。それがすごく嬉しいんだ。だからいつも史が目覚めると同時に、ついキスしちゃうんだよね」
「・・・・っ」
言われてみれば、朝起きるとすぐに希和によくキスされていた。
希和のほうが私よりも早く起きていることが多くて、私はいつも微睡の中、希和の唇の感触によって徐々に覚醒していくのだ。
そうしていつも、幸せな朝を迎えられる。
私のそんな酷い醜態でさえも、希和はまるで魔法みたいに素敵な事柄に変えてしまうから不思議だ。
「希和がいいならいいよ。寝顔、見ても」
わざと少し不貞腐れたような口調でそう言うと、満足気に希和が微笑んだ。
それから瞳を閉じた希和がさらに近づくと、ぴたっとお互いのおでこが引っ付いた。
「ーーーよかった。
俺の大切な至福の時間が奪われなくて」
本当は恥ずかしい。
けれど私の醜い寝顔なんかで希和が幸せを感じられるなら、それこそお安い御用だ。
どうぞどうぞって。
幾らだって差し出したくなる。
「・・・・希和」
ブラウスの裾からいつの間にか侵入していた手が、背中をゆっくりとさする。
再び開かれた希和の瞳には情欲が宿っていた。
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