第42話
「お隣さんって真面目そうなOLさんだって史言ってたよな?規則破ってでも猫連れ込むなんて、よほどの動物好きかすごく良い人なんだな」
そこで初めて、希和にお隣さんが実は男性だったことを話していないことに気がついた。
あのね、と切り出そうとするも、
「感じの良い人なら、史も友達になれそうなんじゃないか?就職でこっちに出てからは、親しい友人が近くにいないって言ってただろう?そのお隣さんと仲良くなれるといいな」
「・・・・・・うん、そ、だね」
頭上から落ちた希和の柔らかな声に、なんとなく真実を告げられなくなってしまった。
まだ実際に会ったこともないし、異性とわかった時点で特別親しくなるつもりもなかった。
だから希和には偶然知られたときに、実はって説明すればいっか・・・・。
この時の私は、このことが後に大変なことになるなんて考えもしなかった。
「それはそうと」
「へ?」
「今日は史のお化粧がいつもと違うね」
すぐ目の前に、私を覗き込む形で見つめる希和の顔があった。
「わかる・・・・?」
「ん、今日会ってすぐなんだか雰囲気がいつもと違うなって思ったんだけど、それが化粧のせいだって今気付いた。瞼がキラキラしてる」
「ヘン、かな?今日カエちゃんに誕生日プレゼントにコスメを貰ったんだけど、それでメイクしてみたの。自分ではあんまり使ったことない色だったからどうかなって思ったんだけど」
「へぇ、そうなんだ。けどさすが史のお姉さんだね。史にすごく似合ってる」
「えっ、ホント・・・・?!」
すると希和が一瞬だけちゅっと唇に触れた。
「ホント。いつもは可愛い史が、今日は綺麗って感じかな。ちょっとドキドキして襲いたくなる」
希和の言葉に、私の方がドキドキしてしまう。
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