第37話
「は?」
「先生と関係を持った女性がそれ以上の進展がないと、必ず私に嫉妬するんです。私がこうして買い出しや身の回りの世話などをしたりするから『本当にただの担当者なのか』と。だから皆原さんもてっきり彼女たちと同じかと思ったんです」
あぁ、なるほど・・・・・・。
「私はそんなつもりで聞いたわけじゃ」
「はい、勘違いしてしまってごめんなさい。私と先生は本当にただの仕事での繋がりしかないのにまたかって。いい加減うんざりしてしまっていたものですから」
「そんなに酷かったんですか?」
「えぇ、それはもう。女の嫉妬ほど恐ろしいものはないですからね」
森さんは心底嫌そうな顔をした。
「なんだか大変そうですね・・・」
「先生ももう少し中身で女性を選んでくれたら良いんですけど。まぁ遊びの相手にそこまでは求めないか」
あの夜のあの声の大きかった女性も、彼女ではなくそういう女性だったということなのかな。
「その点皆原さんならきちんと良識がありそうですし、私は歓迎ですけど・・・って、あ、着きましたね」
3階を知らせる点滅のあと、ゆっくりと扉が開いた。
「えっ?歓迎って、だから私は穂高さんとはなにも・・・っ」
森さんのあとに続いて私もエレベーターを降りる。
「わかってます、冗談ですよ。私だっていくら容姿が優れていたって先生だけは絶対にごめんですから」
「はぁ」
「あぁして動物にも優しいですし、悪い人ではないんですけどね。あ、荷物ありがとうございました。そこに置いてもらえます?」
森さんの言われた通りに、穂高さんの部屋の前にトイレットペーパーを置いた。
「皆原さん、先生にも例の猫にも直接会われたことないんですよね?今お会いになります?」
そう言って森さんがインターホンを鳴らした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます