第29話

「はいこれ、お誕生日プレゼント」



「わ、ありがとう」





ブランドロゴの入った小さめのショップ袋をカエちゃんから受け取った。





「寧々も一緒に選んだんだよー!」




嬉しそうにソファから身を乗り出す寧々を、カエちゃんは慣れたように肩を押して制止した。




「ジュースこぼしちゃうから、ちゃんと座ってなさい」



「はぁい」




その様子にカエちゃんもすっかり母親だなぁと感心する。




「寧々もありがとね。なんだろう?」



「あのね、お化粧するのー」



「お化粧?」



「アイシャドウパレットとリップグロスよ。ちょうど発売したばかりの限定品が、史に似合いそうだなって。ね?寧々」



「うん!フミちゃんに似合うよ!」




袋を開けると、艶やかなゴールドベージュ系カラーが並んだ4色入りのコンパクトと、青みピンクが綺麗なグロスが入っていた。




どちらも色気のある大人の女性っぽくて、とても素敵な色だ。



自分ではラメが入ったものはあまり選ばないから新鮮だった。





「すごく素敵。・・・だけど私に似合うかなぁ」





血の繋がった姉妹だというのに、私とカエちゃんはあまり似ていない。



カエちゃんは近所でもちょっと評判だったくらい、昔からとても美人だった。



だからこの色もカエちゃんにはぴったりだと思うんだけど、私には・・・・・




「史は相変わらず自己評価低いなぁ。こんなに可愛いのになんでそんな自信ないかな」



「だって」



「昔はそんなことなかったのに、高校生に上がったくらいからじゃない?史がそうやってネガティヴになったのって」




・・・少し思い当たることはある。



「身内だから言うんじゃなくて、史はもともと可愛かったけど、年齢とともに最近はすごく綺麗になったと思う。だからもっと自信持って」




「自信持って!」




親娘2人でガッツポーズする姿が可愛くて、私はふふっと笑みが溢れた。




「ありがとう。これ使ってもっと頑張るね」



「ホント、こんな可愛いくて良い子なのに、なんで長いこと彼氏ができないかなぁ」

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