第26話

「ペット禁止のマンションで、もしペットを飼ってるのがバレたらどうなるんでしょう?」




「さぁ?契約違反といえども、いきなり強制退去させるなんてことは難しいだろうから、とりあえずは注意されるだけなんじゃない?でもどの道そこで飼い続けるのは無理よね」




「そうですよね・・・」





その日のお昼休み。



三上さんに、いきなり追い出されることはないと聞いて少しほっとした。



けど追い出されるとしたって、それって野良ちゃんを連れてきたあの彼氏さんではなく、家主である穂高さんなわけで。



それはちょっと可哀想だ。



でもあれ?それともあの彼氏さんもあの部屋に一緒に住んでいるのだろうか?


今朝いたのだって泊まったわけじゃなくて、もしかして同棲してるのかな。



それとも夫婦とか?





「なーに、皆原ちゃん。そんなこと聞いてペットでも飼うつもり?やめときなさいよ」




「どうしてです?」




「独身女がペット飼ったら婚期が遅れるって言うじゃない」




「そうなんですか?」




「ペットで満たされて男がいらなくなっちゃうんじゃない?知らないけど。まぁ皆原ちゃんみたいにすでに相手がいれば関係ないかもしれないけどね。でも一応、彼の許可は取ったほうがいいんじゃないかしら」





私の話ではないのだけど、まぁいいか。



けれどふと、そういえば希和が犬や猫が好きなのか聞いたことがないなと思った。



5年も付き合っていても、まだまだ知らないことはたくさんあった。



















「朝早いんだね。皆原さんってOLさん?」





翌朝もなんとなくベランダに出てみると、お隣の彼氏さんもちょうどベランダにいたようだった。





「おはようございます。そうですけど・・・早いですか?普通ですよ」



「そうなんだー。俺からすれば感心するよ」




"なぁー"





あ、野良ちゃんもいる。




「あの、・・・お仕事行かれないんですか?」




なんて呼んだらいいのかわからないまま、疑問を投げかけると、




「え?俺?行かない行かない」




そう全力で否定された。

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