第21話
明日もまだ平日だから、お互いに普通に仕事がある。
希和に言われてふと、昨夜のお隣りさんの声を思い出してしまった。
「ううん・・・!今日は希和の部屋がいいっ」
「いいけど。・・・何かあった?」
「違うの、あのね、ただお隣りさんが引っ越して来たばかりでまだ片付けとかしてるみたいで少し騒がしくて」
希和と会うのは久しぶりだし、今日は私の誕生日だしーーー必然的に今夜はその、そういう流れになると思う。
でも昨日の今日だし、"穂高さん"のあの声を思い出してしまって、気になって絶対に落ち着かなさそうだ。
いや、私はあんなに声は大きくないんだけど。
「隣りに引っ越して来たって、それってもしかして・・・男?」
「え?」
なぜか眉間に皺を寄せて、不機嫌そうな希和。
これってもしかして・・・。
「ううん、女の人だよ。真面目そうなOLさん」
夜の顔はちょっと違うのかもしれないけれど。
「そっか、よかった。もし男だったら2度と史を部屋に帰せなくなるところだったよ」
にっこりと綺麗に希和が笑った。
ーーー・・・顔が、熱い。
まさか希和が、私なんかにやきもちを焼いてくれるなんて。
「希和、もしかして酔ってる?」
「ちょっと酔ってるかもね」
希和はそれほどお酒が弱いわけじゃないはずだけど、けっこうワイン飲んでたからかな。
なんだ、やっぱりそのせいなのか・・・。
「でも嫉妬はアルコールのせいじゃないから」
「・・・・・・っ」
希和は私の顔を覗き込んで、にやりと笑った。
「さ、早く家に帰ろうか」
来たときと同じように、希和は私の手をしっかりと握った。
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