第11話
「千家さん、皆原ちゃんはダメよ」
「ん?あぁ、そっかそっか」
輪の外に居たはずなのに、みんなの視線が一斉に私に集まる。
「イケメン彼氏に怒られちゃうのか」
あー・・・・今日も来たか。
気付かれないように、おしぼりで口を隠して息を吐く。
自分のことを触れられるのは、毎度毎度すごく苦手だ。
「いえ、あの、怒りはしないですけど」
彼と付き合ってから合コンには行ったことはないけれど、会社の新年会や、元カレもいる同窓会に参加した時にだって特に何も言われなかったし。
「でもあの彼、かなり皆原ちゃんに惚れ込んでるでしょ」
「・・・そんなことは」
「千家さん、皆原さんの彼氏さん、知ってるんですか?」
「知ってるっていうか見たことあるだけ。何度か朝車で送って来たとこ目撃したの。芸能人かってくらい、整った顔しててびっくりしたわ」
そうそう、と三上さんも参戦する。
「長身でスーツ姿もばっちり決まってるしね。あんなイイ男、なかなかいないわよ」
「えーいいなぁ。そんな人、どこで出会ったんですか?」
「どこって・・・・・・」
みんなからの激しい集中攻撃に耐えられず、思わず俯いてしまった。
「うちの事務所で」
私の代わりに、三上さんが楽しそうに答える。
「え?嘘っ、社内恋愛なんですか?」
「そんなかっこいい人いました?」
「違う違う、社員じゃないのよ。以前うちの事務所を担当してた会計士さん。今は替わっちゃったから別の人なんだけど」
「うわー、その手があったか!」
千家さんの両サイドの2人が、同時にパチンと手を叩いた。
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