第21話

「マキはさ、結婚願望とかあるの?」



「えっ・・・・・・」






鳴沢部長から、こんな話を振られるのは初めてだった。


だって私の結婚の話とか、鳴沢部長には関係のないことで、興味もないと思っていたから。




「・・・どうなんだろう?29にもなって恥ずかしいけど、よくわかんない」




ないこともないんだろうけど。


本当によくわからないのだ。







「ーーーそうか」




背後から聞こえた声は、思いの外低くて、真剣に聞いていたんだと感じた。



私に結婚願望があったなら、鳴沢部長は私との関係を終わらせるつもりだったのだろうか。







私と鳴沢部長に未来はない。



鳴沢部長はもちろん望んでいないし、私もそれを求めてはいない。

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