第10話

「ねー、相手ってもしかして社内の人?私も知ってる人?」




「できたなんて一言も言ってない」




「・・・・・・ふーーーん。まっ、イイけど。だけどいい加減、この先のこともちゃんと考えた付き合いしなさいよ?もういい歳なんだから」





ーーーこの先のこと。


つまりは、結婚。




私は小さく溜め息を吐いた。




睦美は、栗色のふんわりとしたミディアムヘアと、くりっとした大きな瞳が可愛らしい。


一見守ってあげたくなる容姿とは違い、中身はかなりしっかり者の姉御肌だ。


だからいつもこうして私のことを心配してくれている。そんな睦美に私の現状など言えるわけがなかった。



先なんてない、相手とだなんて。







「あれ?真木と沢村じゃないか」

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