第11話

「あ、鳴沢部長っ!お疲れ様でーす。外に出てたんですか?」



「あぁ、商談の帰りなんだよ。気持ち良さそうなとこでランチしてるんだな。俺も腹減った」





ここは会社から徒歩7分ほどの好立地にあるオープンカフェ。


天気の良い日は、こうして外の席でランチをしているので、知り合いが通ればすぐに気付かれる。



「鳴沢部長もよかったら一緒に如何ですか?」



「ちょっと睦美、私たちもう戻るとこだったじゃない」



トーン高めに声を掛けた睦美を、慌てて制す。



「え、まだいいじゃない。鳴沢部長、ぜひ!」



すらりとした高身長に甘いマスクで、実年齢である38歳よりも若く見える。そんなイケメンを、ただ間近で鑑賞したいという睦美の根端が見え見えだった。



「ははっ、ありがとう。けどまだ会社に戻ってやらなきゃいけないことがあるんだ。また今度誘ってよ、な?沢村。・・・真木も」



私の名前を呼ぶタイミングで視線をさり気なく私に移すと、ほんの一瞬目を細めた。

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