第5話

「でもマキがアイツと別れてって言ったら、わかんないよ?」







ーーーーーーはっ?







冷蔵庫から取り出したオレンジジュースのパックを手に持ったまま、口をぽかんと開けた私の顔がよほど意外だったのか、




「会社ではクールビューティーと言われてるマキも、そんな顔するんだな」




額に手を当て、肩を揺らして笑っている。






「突然ヘンな冗談言うからでしょ!?もう!

さっさと帰ったら?奥さん待ってるよ!」



ドンっとパックをテーブルに置き、スーツの両肩を後ろから押して、玄関へと促す。






「ごめんごめん、マキ。また連絡するから」



「しなくていい!」



拗ねんなよ、と額にやさしいキスをされた。






「さっき言ったのは、冗談じゃないよ」

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