第6話

1人になった部屋で、晩御飯の支度を始めた。




と言っても、今日は仕事帰りにスーパーで買ったお惣菜を温めて並べるだけ。



あの人がここで御飯を食べていくことは殆どない。



奥さんが手料理を作って待っているから、ちゃんとそれを食べる為にだ。



だけどそれは優しさじゃなくて、ただ浮気を怪しまれない為であって。だからきっと食事だけじゃなくて、律儀に夜は奥さんのことも抱くんだろう。



そんな面倒なことまでして、なんであの人、私なんかと浮気なんてしてるんだろう。








ーーーなんで私、不倫なんてしてるんだろう。






"不倫なんて"



そうずっと嫌悪感しか抱かないものだったはずなのに。自分がその状況に陥るまでは一瞬だった。

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