第3話 いつも涼しい雪女さん

昼休みが終わり大狼さんを連れて体育館に移動した俺たち

体育なのに制服ままで来たことを思い出し近くの更衣室にそれそれ移動し着替える

着替えが終わり大狼さんが出てくるの待つ

待っていたら大狼さんが出て来た


「おまたせ?急ごう」

「いや、それこっちの台詞」

そんなことを言いつつ俺たちは体育館に入って行った


いつも体育は晴れてる時はグラウンドで授業するのだが

着替えている時に雨が降り、体育館で授業することになった

準備運動をしていると後ろから肩を触られ、耳元に声をかけられる


「寝癖付いてるよ旭」

耳元で囁くように言われ、少し驚く

「おい?急に耳元で声をかけるなって何度も言ってるだろ、紗夜」

「ふふっ、昔から耳弱いもんね?旭は」

後ろに振り返り、耳元で声をかけた人物に注意する

「お前は気配がわからないから今でも少し怖いわ!」

「常に私をみてない旭が悪い」

そう言いジトっとした目で俺を見る彼女


彼女の名前は雪本紗夜ゆきもとさや

腰くらいまで伸びた美しく見る者を全て魅了する程の綺麗な白髪

華奢で繊細、服からでもわかる程の綺麗な身体つき

サファイアの様な綺麗な瞳に

肌白く陽が当てられたら芸術品に見えるくらいの綺麗さ

彼女は俺の幼馴染で家が隣同士で幼稚園の頃からの付き合いだ

成績優秀、才色兼備、大和撫子と言う言葉が似合う程に

天に二物も三物も与えられたと言える奴だ


そんな天の二、三物与えられた彼女にも欠点がある

それは表情が動かない、何故か俺の前だと全く動かない

表情が全く動かず、感情があるのかと疑問に思う程に

無表情でその姿はまるで人形の様だ

俺以外には表情や感情がある様に見えるのに

俺の前だけは無表情、感情がないように見えることから

俺は彼女を心の内で勝手に「雪女」とそう呼んでいる


「ねぇ?」

「なんだよ?」

「昼さ、一緒に食べようって朝言ったね」

そう言った瞬間周囲の空気が下がって感じがした

「ん?あぁ〜そう言えば言ってたな」

「待ってたのに来なかったね?」

そう言い紗夜は耳元で囁く

「っ!?だから耳で喋るのはやめろって」

耳元で囁くように言われ注意する

「まだだめだよ」

「っ!」

喋ろうとしてる最中にまた耳元で囁かれる

彼女の声に何故か反応してしまう

「待ってたのに何も言わずにさ?」

「何で謝らないのさ?」

怒っていた

一緒に食べようと約束したのに彼女との約束を破ってしまった

「悪い、大狼さんに頼まれてたから、埋め合わせはいつかする」

「うん、わかった」

そう言いちょうど準備運動が終わったとき声をかけられる

「出雲くん、雪本さん、どうかした?」

「いや何もないよ、大狼さん」

こいつ、人が来たらすぐ猫被るんだよな


そんなことを考えながら本日の授業のバスケをする

「ねぇ、負けたらアイスを奢る勝負しない?」


そう言い紗夜は俺に勝負を仕掛けてきた

こいつ自分が勝つからって俺が勝てないと思う勝負を仕掛けたのか?

少しイラッと来た


「私も参加して良い?雪本さん」

「いいよ、大狼さん」

まさかの大狼さんが参加してきた

「さぁ早く勝負しようね?旭」

「わかったが俺が勝つからな紗夜ぁ!」


運動神経が良い二人に負け

結果俺は二人にアイスを奢ることになったのだった


時間が経ち、授業終わりの鐘が鳴る

「じゃあ片付けするから運ぶの手伝ってよ旭」

そう言い俺は紗夜と一緒に片付けをするのだった


片付けが終わり

更衣室に行き、着替え終わり昇降口に行こうとした時

大狼さんに会った

「アイスは夏でいいから、じゃあまた明日」

「え?うん、また明日」

そう言い彼女は家に帰るのだった


彼女の帰る後ろ姿を見て

俺もアイスを奢る為に外靴を取りに昇降口に移動するのだった

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