第13話 キスしまくるバカップル

 電車の中。俺たちはキスをしていた。


 これはあくまでバカップルじゃないと証明するためだ。バカップルならこんな公衆の面前でキスしないだろう。


 まず、モモが先制攻撃と言わんばかりに接吻を重ねてきたので、俺はお返し代わりに舌をモモの口の中へ入れた。


 侵入に成功した舌はモモの口内で暴れまくった。全ての唾液を絡めとるかのように、クチュクチュと音を立てながら。


「うわぁ、またあのバカップルやってるよ」


「倦怠期とか無いんか?」


 周囲の雑音は聞こえない。モモの声しか聞こえない。


 今度はモモの舌が俺の口内を蹂躙するべく侵攻してきた。お互いの舌が入り乱れる。


 息が少々苦しくなってきた。楽しい。


 そんな時だった。


「電車でやらんでくれませんか?」


 頭にアルミホイル巻いた車掌さんに声をかけられたのは。


 俺たちは静かに赤面した。

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