第4話 バカップルのきっかけ(彼女編)

 その晩、あたしは夢を見た。


 内容はあたしとアオたんが出会ったきっかけ。


 それは、あたしがまだ人間と化け物のハーフだった時まで遡る。


 あたしは暴食の魔人の娘だ。生まれた時から何処か感情が抜けていて、満たされない毎日を過ごしていた。だから他の人から感情を奪った。


 たくさんの人の感情を奪った。感情を失った人達は廃人のようになったが、あたしは満たされなかった。


 そんな時に出逢ったのがアオたん。宮崎蒼だった。



「一目惚れした。付き合ってほしい!」



 初対面からいきなり告白されて困惑したけど、食料には困らないかなと思い直して付き合う事にしたんだっけ。


「モモって呼ばせてほしい! 俺の感情を念入りに入れた弁当作ってきたんだ! モモ! モモ!」


「蒼ちゃん……落ち着いて!?」


 アオたんは愛が重かった。


 愛が重すぎるなんてものじゃない。もしこの感情があたしじゃなくて他の人に向けられていたならば、アオたん周辺で災厄が振り撒かられていたんじゃないかと思うぐらいには。


 食べても食べても減るどころか、寧ろ増えていった。彼はどんどんあたしに依存していく。


 この依存度。多分アオたんも愛に飢えてたんだと思う。


 それと同時にいつのまにか絆されていく自分がいた。魔人と人間の恋愛は大抵破滅に終わる。ダメな事は分かっているのに。


 初恋だった。


 それを自覚した頃には、満たされない感情は綺麗さっぱり無くなっていた。


 魔人の力も消えて、魔力も人間にしては多いかな程度まで萎んでいた。必要じゃなくなったから退化したのだろう。


 あたしは恋を知って人間になった。


 けど、その過程でたくさんの人々の人生を奪った。たくさん許されないことをした。あたしは贖罪をしなければならない。




「よーし、アオたん起きてー! 朝だよー!」

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