第3話 バカップルの愛の巣
「あのさぁ。人の話は最後まで聞こうか」
「すいませんでした」
「頭が低いね。正座からの土下座で、今回は土下寝とは頭が低すぎる。今日だけで数多の罪犯してるから頭が重いのかな? 逆に不愉快よ。今から半殺しにしたい気分」
そう言って委員長は俺の頭をズケズケと踏み抜いていく。
「ありがとうございます」
「気持ち悪る」
「でもモモの方が踏まれ心地がいいな。もっと頑張ってくれ」
踏まれなくなったので恐る恐る顔を上げてみると、軽蔑な表情で委員長が見下げていた。
相変わらず怖いお方だ。修行をつけてくれた師匠より怖い。
すると委員長は周りを見渡した後、誰にも聞こえないような声で囁いてきた。
「感情を奪う魔人の討伐はどうなった?」
「それがまだ見つけられてないんだよね。弱いくせにステルス能力は一級品らしくて」
「あなたの父上がお怒りよ『何故あの程度の魔人に手こずってるのか』って。色沙汰は結構だけど、本腰入れて探さないと消されるわよ」
「ご忠告ありがとう。モモや生徒に聞かれたら大変だから後で話そう」
◇
「ウーン……ここは?」
数時間後、モモが目覚めた。
「おお、愛しのモモよ! 大丈夫か、頭痛くない? どっか痛むか?」
「ううん……大丈夫」
「けど心配だから精密検査受けに行こう! 救急車も手配したから!」
「心配性レベルマックスすぎる。その危機感を本職に活かしてほしい」
そういえば委員長の裏の顔は魔人の詮索を主に諜報活動してるんだっけ。ついでに聞いてみるか。
「なあ、俺らってバカップルという悪評が広まってるじゃん。ついでにそんな噂流した奴を探して欲しいんだけど」
「噂は一人歩きしてない。噂を広めた奴もおそらく居ない。君らの日頃が乱れてるからこんな事になってんの! バカップルが!」
「バカップルではない。健全な関係だ!」
「百花を現在進行形でお姫様抱っこしながらよくそんな事ほざけるよね。いっそ清々しいよ」
◇
そうこうしているうちに夕暮れどきになった。委員長が『百花を家まで送って行こうか』と言ってきたので丁重にお断りした。だって……
「言ってなかったっけ? 俺たち同棲してるんだ」
「はっ? 高校生で?」
「んじゃ、委員長さんおつで~す!」
こうして俺たちは我が愛の巣へ向かって帰路にたった。
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