二人の王子様

第57話

服は決まり、後は苦手な化粧だが、服に合わせてオレンジを基調にしたアイシャドウを塗ることにした。


 新調したリップを塗り、髪の毛も緩く巻く。


 何度も鏡を見ながら身支度を整えていると、聞き慣れた通知音がソファの上で響いた。


 身支度はこれでいいだろうと、約束の時間まで後30分もあるため、先程入れたココアを手に取りソファに腰掛ける。


 「桃から…」


 iPhoneを手に取り通知を開けば、送り主は桃だった。


 昨日のことを謝る文面に、私もごめんと返信する。


 誰よりも、桃に今日のことを相談したかったから、起きているなら電話で仲直りをしようと思い、電話をかける。


 3コール目で出た桃は、同じく二日酔なのか、それとも泣いたのか、声が少し枯れていた。


 「もしもし…お姉ちゃん休みの日なのに朝早いね」


 「それはこっちのセリフなんだけど。いつも日曜日は昼まで寝てるのに珍しい」


 「「…ごめん」」


 少しの沈黙の後、ごめんの3文字が被ってしまった私達は、暫く笑った後、いつも通りの会話に戻っていた。


 別れた方がいいと言ったことを謝れば、桃はきつい言葉を沢山かけてごめんと謝ってくれる。


 素直にお互いが謝り、仲直り出来る仲でいられるのは、きっと両親のおかげだ。


 「あの後あっくんに怒られたんだよね。感情的になって良いことと悪いことがあるって。でも、それだけ不満や愚痴が溜まってるなら吐き出した方がいいからって、居酒屋に行って遅くまでお酒に付き合ってくれた。もちろんあっくんは桃を送り届けないといけないからノンアルコールで、桃財布の中小銭しかなかったから全部あっくんの奢りでね」


 「彰、もう私たちの保護者じゃん」


 彰には頭が上がらないなと思い、桃に昨日の夜のことと、今から早乙女さんと出かけることを簡単に報告した。


 「あっくん、慰めないとな」


 「なんで彰?後、桃にもらったワンピース、やっと着れたよ、ありがとう」


 電話の先で、桃が興奮しているのが分かるのと同時に、なんで彰が出てくるのかが不思議だ。

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