第48話

「かんちゃん、桃以外の女の子たちとも遊んでたんだよ!?興味本位でマッチングアプリ始めたって前に言ってたし、本当にあり得ない!」


 車を停めたのは海沿いの堤防。


 夜の風は寒かったが、海で叫びたい気分だという桃の希望に合わせての今。


 しっかり防寒用具を構えていた彰が、ブランケットを私と桃の肩に掛けてくれる。


 「あっくん、本当に良い男すぎない?」


 「だろ?」


 近くにこんな出来た幼馴染が居るというのに、どこまでも男を見る目がない桃は、今回もまた、悲しい思いをしてしまった。


 「別れて正解。桃はもっと良い人いるから」


 こんなに可愛い妹を悲しませたかんとやら。覚悟をしておけ。と、怒りが湧き立つ中、次はきっと良い人に出会えると激励を送る。


 しかし、桃は私を見て、何を言っているのかと不思議そうな顔をした。


 まさか…という嫌な予感は、


 「私別れてはないけど?」


 当たってしまったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る