鏡よ鏡

第44話

早乙女さんからのメッセージに、はしゃいでしまう自分がいた。


 気まぐれで送ってきたのだろう、返信はその後続くことが無く、残念だとすら思っている。


 「雪、居る?」


 「入れば?」


 いつの間に抜け出してきたのか、部屋をノックする音と彰の声。


 幼馴染ということもあり、部屋に入れることに何の躊躇いもない。


 懐かしいだなんて言いながら入ってきた彰は、ベッドでくつろぐ私を見て、


 「ぐうたらしてたら太るぞ」


 だなんていう失礼な言葉を放った。


 「デリカシーないとモテないぞ」


 「知らないのか?俺、昔からモテ男だぞ?」


 「モテ男って死語じゃないの?」


 「うるせえ」


 間髪入れない言葉のキャッチボール。


 キャッチボールといっても良いのかと疑問に思うが、これが私たちのいつものコミュニケーションの取り方。


 桃も毒舌だが、血を分け合った姉妹だ。


 毒舌とまではいかないが、慣れた相手だと遠慮はない。


 それが普通なのかもしれないが。

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