第36話

結局恋愛ドラマをつまみにお酒が進んだ桃は、ソファに座っていたのにも関わらず、床で寝るほど酔い潰れてしまった。


 「泣けたんですけど〜」


 観ていたドラマは悲しい結末を迎えたらしく、ボロボロ泣きながらジタバタ足を動かす桃。せめて布団で寝て欲しいと、引きずりながら寝室へと運ぶ。


 「化粧も落とさないで、綺麗な顔が勿体無いでしょ」


 こんな状態でお風呂に入らせるのは危険だと思い、化粧落としのシートを探して、丁寧に化粧を拭き取る夜中の1時。


 元々甘えん坊気質の桃は、腰に手を回して抱きついてくる。昔と変わらない、眠たい時の癖である。


 「あっくんとお姉ちゃん、上手くいって欲しかったな」


 寝入る寸前、こぼされた言葉に手が止まった。


 そして、寝息を立て始める桃。


 「もう昔のことでしょ」


 そっと引き離し、布団を被せて電気を消す。

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