第32話
いつの間にか寝てしまっていたようで、もう着くと早乙女さんに起こされて目を覚ます。
「ほら、しっかり歩いて」
「動物園の時と立場逆転してて複雑」
まだ眠たい体を必死に動かして歩けば、スタスタと先を歩く早乙女さんが振り向き戻ってきた。
まるで動物園を出る時の私が急かしたように、世話を焼きながら呆れた表情をする早乙女さんは、思い出したかのように口を開く。
「オムライス」
「…はい?」
「だから、晩御飯、オムライスがいいと思う」
「まさか、食べに来る気じゃ…」
電車での私の独り言に対して、時差で返されるとは思わなかった。
オムライスは早乙女さんの好物で、それを提案したということは、単に私への助言ではない。
「お腹すいた。早く作ってね」
もういっそのこと今日はこのまま帰ってお風呂に入ったら寝ようと思った矢先のイレギュラー。
卵あったかなと冷蔵庫の中を思い出しながら、途方に暮れたのであった。
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