第24話

オムライスを食べ終わっても、帰る気配のない早乙女さん。


 「サブスク、もっと追加しておいてよ」


 「また来るつもりですか?」


 勝手にテレビのリモコンを操作し始めると、文句を言い始める。


 適当に映画をつけて寛ぐ姿に、どういうつもりだ?と、失礼なことを思ってしまった。


 「不安なの、顔に出てるから。その様子だと、警察にも相談してないよね。俺仕事上一日中家にいるけど、警察の人来てた感じしなかったし」


 見透かされていたのか、図星を突かれてしまう。


 私には目もくれず、リモコン片手にテレビに向かう早乙女さんは、人に無関心なようでよく見ているのだろう。


 「下着盗まれたくらいで、大騒ぎしたくないので」


 気を使わせてはいけないと、食器の片付けをしながら笑ってそう答えるが、今度は真剣な顔になった早乙女さんが私を見た。


 「そんな顔して、強がられる方が心配」


 そして立ち上がり部屋から出ていく。何か怒らせてしまったのかと不安になるが、すぐに戻ってきた早乙女さんに渡された防犯グッズたち。


 「俺、ストーカー被害に遭ってたでしょ?その時に色々買ってたから、あげる」


 「…ありがとうございます」


 中には新品でないものもあり、使用した経歴のあるものまで。


 余程怖い思いをしてきたに違いない。


 ありがたくそれを受け取ると、納得したのか、今度こそお礼を残して早乙女さんは帰って行った。


 隣から聞こえてきた音に笑みが溢れ、またオムライスを作ろうと思いながら玄関の戸締りをする。


 タイミングよく鳴る着信音は、珍しく県外にいる幼馴染からのもので、来月帰るという連絡だった。

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