第16話

海辺のおしゃれなカフェで、ケラケラと笑う桃の声が響く。


 「 お姉ちゃん、勇気ありすぎでしょ 」


結局あの後泊まりに来た桃は、朝まで私を道連れにホラー映画を観た。電話越しの出来事を気にして来たのかと思えば、ホラー映画を観て夜更かしするのが目的だったらしい。


 そして今、SNSで話題のカフェに入りゆったりしているところで、昨日の出来事の話題に入ったのだった。


 「 らしくないことしたから、疲れた。ホラー映画朝まで観させられたのもあるけど 」


「 でもさ、良かったじゃん。そのお隣さんとの関係も少しは良くなったんでしょ?女の一人暮らし、周りは良い人で固めといた方が何かあった時安心だよ 」


 食後に頼んだケーキがやって来て、その美味しさに頬を両手で掴む私たち。桃は姉の私が言うのも何だが、モテる。


 白くて小顔で顔立ちもハッキリしていて、それに加えて裏表のないさっぱりとした性格。よく笑い、言いたいことは言う為敵も作りやすいが、周りの友達や職場の人たちからは信頼されている。


 いわゆる、自慢の妹だ。


 桃が笑うたび、店内の男性客が桃を見る。


 その様子を見て、わるい虫には引っかからないでと心配になる姉心。


 「 …で、イケメンだった? 」


「 やっぱり食いつくのねそこ 」

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