第8話
部屋の片付けも終わり、食材を買いに行こうと外に出る。
「…一応、ね」
音がしていたし、挨拶は早い内に済ませておきたいと思い持って出た引っ越しの挨拶。
————ピンポーン
控えめにインターホンを押して反応を待つが、朝と同様出てくる気配はなかった。
「こういうの嫌いな人居るし、忙しいのかもしれないもんね」
もしかしたら在宅勤務の方で忙しいのかもしれないと、挨拶の品を入れた紙袋に用意していた付箋を貼り付けてドアノブに掛ける。
「…誰」
すると、左側から聞こえてきた力ない声。
声のする方へと顔を向ければ、白い肌に寝ぐせのついた色素の薄い髪。そして整った顔には気だるそうな表情を浮かべた男性が居た。
「あ、早乙女さんですか?私隣に越してきたおとなし「ストーカー?」…はい?」
訝しげに眉間に皺を寄せ、ダルダルのスウェットの袖から出る手で指を刺してくるこの男。
初対面で失礼なのでは。と、固まってしまう。
「 何。引っ越しまでしてくるとか怖すぎでしょ 」
「 何で初対面の人にストーカー扱いされないといけないんですか。私はただ、引っ越しの挨拶を持って来ただけなんですけど 」
「 今時挨拶なんて古臭いよ。いらない 」
「 失礼の上乗せされたような人ですね!? 」
「 …うるさ 」
売り言葉に買い言葉なのかもしれないが、余りにも失礼なその態度についつい言い返してしまう。
野久保さんが言っていた良い人と言う発言を疑ってしまうほどに。
「 瑠威、出来てるか? 」
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