第10話 国の終焉

暴徒たちが去った後、ダリアスは一人静かに王宮の中庭に出た。そこには、かつて国の栄光を象徴する美しい庭園が広がっていたが、今は荒れ果て、草木は枯れ果てていた。その荒涼とした光景は、国全体の崩壊を象徴しているかのようだった。


「すべてが終わったのだな…」


彼は静かに呟きながら、枯れた木の下に座り込んだ。周囲は静寂に包まれ、まるで時間が止まったかのようだった。かつてはこの庭で、王族や貴族たちが華やかな宴を開き、国の繁栄を誇っていたが、そのすべてが今や過去の幻に過ぎなかった。


ダリアスはその過去を思い返しながら、王としての自分の失敗を再び噛みしめた。彼は王座に座った日から、ずっと何もできず、ただ権力者たちの意のままに操られてきた。国を守るという責務を果たすことなく、無力なまま国の崩壊を見届けるしかなかった。


「この国を、私は救えなかった…」


その言葉が胸に深く突き刺さった。彼には悔恨と無力感だけが残されていた。国民を救うことも、国を立て直すこともできず、ただ時の流れに身を任せた結果が、今目の前にあるこの荒廃した国だった。


その時、遠くから大砲の音が響き渡った。隣国の軍勢がついに首都に到達し、王宮を取り囲んでいた。ダリアスはその音を聞きながらも、驚くことも恐怖を感じることもなかった。もはや国が滅びる運命は避けられず、自らの命が尽きる時が近づいていることを理解していた。


「これが私の終わりか…」


彼は目を閉じ、運命に身を委ねる決意を固めた。もう逃げる場所はなく、逃げる理由もなかった。彼が選んだ王としての道は、失敗と挫折に満ちていたが、今はその責任を全うする覚悟だけが残っていた。


やがて、隣国の兵士たちが王宮に入り込んできた。彼らは無抵抗のダリアスを見つけ、彼を捕らえようと近づいてきたが、ダリアスはその場で立ち上がることなく、ただ静かに彼らを見つめていた。


「王よ、お前の時代は終わった。国は我々の手に落ちた。」


指揮官の一人がそう言い放ったが、ダリアスはただ微笑を浮かべた。


「そうだ…私の時代は終わった。この国も、私と共に滅びたのだ。」


彼の言葉は虚無的だったが、その中には静かな諦めと解放感があった。王としての責務を果たせなかったことへの後悔はあったものの、その責任を受け入れ、ついに自らの運命に決着をつける覚悟ができていた。


兵士たちはダリアスを連行し、彼を最後の審判の場へと連れて行こうとしたが、ダリアスは抵抗せず、そのまま彼らに従った。王としての最後の瞬間が近づいていることを知りながら、彼はもう恐れることはなかった。


「この国は、新しい時代を迎えるだろう。」


彼はそう呟きながら、再び静かに目を閉じた。ダリアスの王国は滅び、彼自身もまた、その王座と共に歴史の中に消えていく運命にあった。しかし、彼の心には、少しばかりの安らぎがあった。すべてを失い、すべてが終わったからこそ、彼は最後の孤独と共に静かに幕を閉じることができた。


こうして、ダリアスの王国は完全に崩壊し、歴史の中に消えていった。その国の衰退と崩壊は、無策な王と腐敗した権力者たちによるものであり、国民の苦しみと怒りが最後にその終焉を迎えたのであった。

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偉いと自称する者に喰われた国家元首の采配 星咲 紗和(ほしざき さわ) @bosanezaki92

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