第2話
「ね...」
「ねぇ...」
何処からか声が聞こえる。
もう少し寝ていたいがさっきから近くで
"ねぇねぇ"うるさいので仕方なく起きてみることにした。
「あっ、起きた!」
少し狭い部屋に、いかにもラブコメに出てきそうな天真爛漫な女性が佇んでた。
服装を見るとシンプルなデザインで
割烹着を思わせる、動きやすくて機能的な服装で個人的にはとても似合っていると思う。
「きみ、大丈夫だった?さっきキノコ狩りの最中、きみを見つけたんだけどあんなところで何していたの?顔が蒼白くて今にも死にそうな感じだったよ」
どう話せば良いんだろうか?
異世界転移されて周り数キロ先には地獄があって死んだ。
なんて言って信じてもらえるだろうか?
僕だったら信じないだろう。
変な人と思われて距離を置かれるのは困るのでとりあえず、はぐらかしてみることにした。
「わっわからない...おっおっぉぼえてなない」
ヤバい、転移前に培った吃りが火を吹いた。
不味いぞ、これじゃあ正真正銘、変な人じゃないか!
女性が何かを察したのか言葉の補填を促してくれた。
「大丈夫?まだ起きたばかりだから上手く話せないよね!」
「今、お茶持ってきてあげるから待ってて!」
女性は僕の容態を察してくれて飲み物を汲みに行ってくれた。
あぶない、せっかく助けてもらったのに変な人拾ったとか思われたらもう一度死ねる自信あるぞ。
とりあえず状況の整理をしよう。
身体を満遍なく摩ってみて異常がないか確かめる。
「ふむふむ、大丈夫そうだな」
身体は無事みたいだ。
身体の不調がないことを確認するとここがどんな場所であるか窓があったので立ち上がり、辺りを見渡してみることにした。
「ここは、本当に異世界なのか?」
転移後に確認した奇怪な生物や植物が、死んだと思っていた後も目の前に現れ、そのまま僕の現実感を揺さぶっていた。
僕はあの時、1度死んだハズだ。
女性の情報通りならキノコ狩りしてる最中にあんな地獄のような場所に来て僕の事を看病したりなんかできないハズ...
何が何だか分からなくなってきた。
ピコン
機械的な音が鳴り響いたと共に自分の頭の中から言葉が浮かんできた。
〈友情の立役者を獲得〉
なんだこれ、友情の立役者?
ちょっと変だった頭がもっと変になっちゃう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます