突然の君の訪問
渋川伊香保
突然の君の訪問
うわ、びっくりした。と、いきなり驚かれた。
なんだよ、大げさだな、来て悪いかよ。と、毒づくと、
いやいや悪かったよ。君が悪いんじゃない。ただね、今ちょっと怖いことがあってさ、なんて気になることを言う。
どういうことだよ。
実を言うとね………この前さ、ネットで知り合った女の子がいるって話をしたじゃん、その子なんだけどさ。どうも厄介な子らしくて。最初は俺の通勤先とか聞いてきて、ま、答えちゃったのが悪かったんだけどさ、職場の最寄りまで待ち構えるようになっちゃってさ。いやいやここには来ないでよ、って頼んだら、今度は通勤ルートを割り出されちゃって、帰りに駅とか電車で待ち伏せされるようになっちゃってさ。最初はまぁいっかってたまに食事したりさ、今思うとそれも悪かったんだけど。なんかそのうち俺の友達関係?女の子の友達とか同僚とかそういうの気にしだして。君に関係ないよね?って牽制してたんだけど、あんまりしつこいから帰り道変えたらさ。今度は通勤時間を割り出されちゃって、待ち構えられてさ。いやー、朝だから、家出るのも起きるのも早まるから変えたくなかったんだけど、しょうがないから通勤ルートも変えてさ。そしたら今度は家まで割り出そうとして。LINEとかでしつこく聞かれてさ。誤魔化してんだけど時間の問題かもしれないって。そんな時に突然の君の訪問。そりゃあ驚くよ。
と、説明してるところで、インターフォンが鳴る。
あの、斎藤ですけど、宮城さんのお宅ってここですよね、やっとお家がわかりましたので。
とモニターから若い女性の声がする。
突然の君の訪問 渋川伊香保 @tanzakukaita
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます