第13話
そんなことをしたら
そんなことをしたら
そんなことをしたら自分を殺してしまいますよ
先ほどから耳鳴りのようなその声が耳を覆う。
私は今いるこの現状、
この緊迫とした状況に目を慣らす。
8人皆が会議卓を二つ並べた舞台に
各々が座ってこちらを見ている。
それに今私は犠牲となる
誰かを決めなければいけないのだ。
誰を生かして、誰を殺すべきか。
市民は誰だ、狼は誰だ?
私は目を瞑り、少し前のことを思い出した。
「じゃあその方程式は」
少しずつ都会に慣れてきた
安村は度々私の部屋に駆け込んでくる。
「まだ解明されていない」
「それすごいですよ」
彼は慌てて帰りの支度をする。
リュックサックに勉強道具をしまいながら。
「それじゃ先生、
宅配の荷物が来そうなんで
また明日、お邪魔しました」
「みんなには内緒だぞ」
彼は頷きながら自分の部屋へと帰っていった。
やはり教員と生徒ということで問題になる。
私はいい教え子を持ったものだと感心する。
一年生にしてはそれは熱心で、
彼は優秀な生徒である。
その翌朝、学校出向く。
「岩本先生、おはようございます」
前からそう話しかけてきたのは
コンピューターの学部の彼女だ。
名前はえっと、西山だ。
よく食堂で声をかけてくれる。
成績も優秀で人当たりもいい。
「西山くん、おはよう」
と私は彼女に声をかける。
「質問なんですけど」
私はうんと声を漏らす。
「花火ってなぜあんなに綺麗なんですか」
咄嗟の応答に戸惑いを覚える。
「そうだね、なんだろうか」
私が考えているうちに彼女は、
「私も花火になろうと思っているんです」
と言った。
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