第7話
「大学内で?」と稲田は驚いた。
それを知らせる報道は
すぐに放映されるらしい。
「18歳の彼と岩本の繋がりって?」
私は口を滑らすように言った。
「共通点、共通点」と彼は頭を掻きむしる。
「あ、あのさ」
私は思い立ったように
「パイプ爆弾じゃないといけない理由を探そうよ」と言った。
それは何故と問われるが、束の間に国平が、
「音で知らせる?」
私たちはん?と彼の方向を見る。
「刺したり、殴ったり他の手段は
あった筈なのにここ迄とは。
相当な恨みがありますよね」
「爆弾であると、音で何か知らせる」
「また違う場所で何かが起きるかもしれない」
稲田は何かを思い出したかのように
パトカーへ向かう。こちらを振り向いて、
「あ、パトカーは乗れないけど、来る?」
と私を誘い出すように言った。
私はいやいやと断った。
「広田くん、爆弾」
私は肝心なことを忘れていた。
このアパートには爆弾が残っていること。
私はこのアパートから
逃げざるをえなかったのだ。
稲田と国平はタクシーで現場の大学へ向かう。
私はそれについていくように歩いて向かう。
それこそ色々な角度で事件を
読み取ろうとする。
どうせ現場に行ったとしても
私は規制線の向こうには入れない。
ならこの一般人の力を見せてやろうと。
いや、推理小説マニアの力だ。
頭の中で整理して見る。
18歳の彼が罪を自白した後の立てこもり事件。立てこもり犯はこのアパートに住む岩本佑。
その前にこのアパートの三浦という
女性が出頭。
残すところ私と亡くなった彼。
必ず犯人はこの3人だと私は思ってしまった。
やはりそうだ。科学であるならば
教員免許を持つ彼、立てこもり犯の三浦による犯行の可能性が高い。
それこそ18歳の知識以上のものを持っている。
私は路地をまっすぐ歩いていく。
この道沿いに誰かが立っている。
あれは確か、結婚したてカップルの
女性の方だ。
彼女は何かを私に伝えにきた。
「もう手遅れ」と
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