第4話


「犯人が自供しました」

そんな放送がテレビから流れ出した。

私はあれからすぐにテレビをつけた。

昼のワイドショーに映り変わるその前に

それが明らかになったのだ。

犯人はこのメゾン ド アベニューに住む

18歳の大学生。名前は不確かだが、

思えば2ヶ月前に越してきた。

もちろん実名報道はされない。

彼は都内の警察署に1人で自首しに来た。

この辺りには理系の大学がある。

かなり優れた大学だ。

そこに通っているのでは、と私はふと思った。

彼の部屋は私の部屋から離れている。

と言っても、一階部分の端から端である。

そして放送は彼の証言をまたこうして報道した。

殺したくて殺したんじゃない。

運が悪かったから彼は死んだと。

私怨があったわけでもなく、それは至って単純に。

たまたま死んでしまったと。

それでは昨晩の訪問者も彼であるに違いない。

それがもし、私の部屋だったとしたら。

そう思うと鳥肌が立ってしまった。

彼は福島からこちらに移り住んでいたことが

分かった。特に友人関係などには問題がなかったのだという。

本当に私怨でないのであればもっと恐ろしい。

私はこんなにも早く犯人が浮かび上がるとは思わなかった。思ってもいなかった。

推理しがいがない、と思っていたがしばらくして玄関の方からノックする音が聞こえた。

私は慌てて玄関に向かいドアを

施錠すると稲田がひとりでいた。

「あ、ごめんね。急遽教えて欲しいことがあって」

と彼は息を整えながら私に言う。

どうした?と問うと、

「これ、見覚えない?」

と彼はある一枚の紙を渡してきた。

そこにはおそらくマッキーペンで

書かれた八角形がありその周りの角には

丸が書いてある。

そのうちの一つが塗りつぶされている。

その八角形の右下には狼、市民、占い師と書いてある。私は人狼ゲーム?と声を漏らした。

そうそう、と彼も言い、私はこんな紙見たことがないと言った。

私はすぐに推測した。狼が1人であるなら

市民は大多数だ。その中の占い師という役職に目をつけた。

占い師が殺されたのか、狼が殺されたのか。

私のこの考えは彼も同様考えていたことだった。

私の秘密裏にこのアパートでは

こんな遊びが催されていた。

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