宙ぶらりん

光から離れて下がる

冷たさが部屋中に広がる

窓を開けはなしたままで

夜に吊られている


明かりの道をたどり

夢を吐き

地面にうずくまる


吸い込まれるような空の色

きっと今日だと思った


何もかも見透かすような目をして

本当は知ったかぶりをしている

気が強いふりをして

本当は裏で泣いている


扉を閉めて鍵をかけて

誰もいないことを確認して


ひとけのない夜の空の

眼前で私は吊られている


きゅっと絞まる音に

もうどうでもよくなったって

忘れてしまおうって


浮足立ったあのころとは

もう何もかも違っている

諦めた場所に用はない


足をぶらぶらさせて空を歩く


またねと聞こえたその声に

返事する喉など

ありはしなかった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る