第2話
「さくや!!おはよ!!」
元気な声で起こされる咲夜。
もう一度、夢の世界へと持ってかれそうな意識を現実に戻しつつ
目を開けるとそこには可愛いリボンの付いたオレンジ色のエプロンを着た
陽鬼が立っていた。
「朝ご飯出来てるよ!!勿論私も手伝ったよ!!」
「むふー」と腕を組み褒めてと言わんばかりの顔をしている。
しっぽが付いていれば今頃しっぽの風で台風を起こせていただろう。
うん。
いや、マジで。
朝食を終え学校へと向かう。
勿論陽鬼はカードへと戻ってもらう。
さて、行きしなに声をかけてくる友人なんて居ないので
ちょっと職業について話しておこう。
職業、人によってはジョブやらなんやら呼ぶ人はいるが一般的に職業と呼ばれている。
職業は、初めから決められている物ではなくとある施設で適性検査を行い
そこで出た結果で何になれるのかどの職業が自分に合ってるかが分かる。
検査と言っても宝玉に血を垂らすだけなんだけどね。
宝玉に血を垂らすと目の前に透明のプレートが現れ
そこに書かれている職業しか選択はできない。
適性はS~Fであり、適性がBもあればそこそこ稼げて暮らしていけるだろう。
C以下だとしてもパーティーをいい具合に組めばって感じで
Fは、もうやめとけって世界の共通認識だな。
勿論、適性が高いからと言ってその職業が強いかと言われれば
首をかしげるものが多い。
そう例えば俺のカードマスターとかな。
モンスターをカード化しそれを召喚することで戦う職業。
これだけ聞くと中々に強いと感じるだろう。
昔はそこそこいたっぽいしな。
だが、今はほぼ居ない。
何故今はほぼいないのか。
それはモンスターをカード化する条件が難しすぎるからだ。
一般的に自分だけの力でモンスターを倒しなおかつモンスターが力を認めてくれればカード化してドロップする。
もう分かった人は多いんじゃないだろうか。
そう、倒したとしても確定でカード化しないそれに他人の力を借りてはいけない。
更に言えばスライムなど低レベルのモンスターを従えたところで
ドラゴンになんて勝てやしない。
じゃあなんで俺がカードマスターで陽鬼達をカード化できているのか。
それは――
「あっ学校着いたか」
よし気持ちを切り替えろ。
ここはダンジョンよりも地獄なのだから。
俺、篠塚咲夜は高校二年生。
そして俺の在籍する高校『東第一高等学校』の2年3組に入り一直線に
自分の席に向かう。
そして――
寝たふりをする
そう。
あまり自分では言いたくないが....ぼっちなのだ。
更に言えば
コソコソッ「おい...w雑魚職のカードマスターさんが居るぞw」
コソコソッ「嫌だよねぇほんと、一位の真似でもしてるのかしらw」
コソコソッ「どうせカードマスター以外の適性がオワコンだったんじゃねww」
クッソ聞こえてるぞお前ら。
これだから学校来たくねーんだよなぁ。
職業や適性、更にはランキングなんて物が出たせいで
こういうことが多く不登校の多くは不遇職だ。
そしてカードマスターは肩身が狭いのだ。
一位のカードマスターは名前を匿名にしておりSNSと言った表舞台でも一切情報も無い。
一位の強さが分からないので尊敬すら向けられていない一位なのだ。
名前が出ているランキング保持者がこうして表に現れると
「みんなおはよっ」
キャアアアアアア‼
そうこれも俺が学校に来たくない理由。
「北川君ランキング9000位おめでとう!!」
「ほんとすげーよ北川!あのランキング内に入れるだけでもすげーのにそこからどんどん順位上げていくなんてよ!!」
「いやいや、そんなことないよみんなに助けてもらっての9000位なんだしさ」
キャアアアアアア‼
けッ
剣士適性Aランク様のご登場で騒がしくするのやめてくれませんかね~
はぁ、ランキング外の俺が言えることは何もないけどな。
先生が来るまでこの騒がしさは続いた。
「って感じでさマジでランキングなんて作ったやつ殴り飛ばしてーよ!」
そう今は夜の公園にいる。
勿論愚痴を聞いてくれる友達なんていないので
月夜を呼んでいる。
「そうですか。あの一位は....マスターなのではないのですか?」
「無い無い俺はランキング外だし同じなのは職業だけだよ」
「ふむ.....この一位は我々より強いと..」
「ん?何か言ったか?」
「いえ何でもありませんマスター」
やっぱり月夜は良い奴だよなぁ。
俺の話ちゃんと落ち着いて聞いてくれるし俺が一位だなんて言ってくれるし
今度の週末、血とそれ以外のプレゼント考えておこうかな?
「マスターお時間はよろしいのですか?」
「あっともうやばいなありがとな月夜こんな話聞かせて」
「いえ、最近は陽鬼さんばかりを構っておいででしたので...寂しかったですよ?」
よし、今度ダンジョン行くときは絶対に月夜を呼び出そう。
帰り際にそう言うと天使のほほ笑み的破壊力のある笑顔で
「楽しみにしておりますね」と言われた。
可愛い弟が居たらこんな感じなのだろうか。
[ とある空間 ]
「うーーむ...主様がランキング外となると主様より強い人間が1万人以上いることになるの~」
「考えたくはないがそういうことでしょうねマスターに再度聞いてきましたが『ランキング外』とおしゃられていましたので」
「なんだよそんなつえ―奴らが居るなら喧嘩のしがいがあるじゃねぇかッ」
「
「とにかくマスターをどのように守っていくかの作戦会議、そしてパワーアップを目的とした模擬戦も定期的に行いますので把握をお願い致します」
『すべてはマスターを守るために』
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