突如世界に追加された『ランキング』1位が不遇職『カードマスター』だった
璃々宮志郎
第1話
「おーい、
「はいはい!まっかせて~」
黒髪の元気っ娘の陽鬼がターゲットに向かって走り出す。
そのスピードに上限はなくターゲット目前で上空に飛び上がり
そのターゲットを陽鬼の明るさで照りつけた。
『グラアアアアアアアアアアアア!!!!』
「ごめんねぇ!今日もさくやのために頑張るんだぁ!」
ビキビキビキッ
額からは一本の真っ赤な角が生えてくる。
そして一言——
「【
そう言い放った彼女の背後には太陽が現れていた。
そしてターゲットであるモンスターに対して腕を振るった次の瞬間
火属性を操る上位種のドラゴンを跡形もなく焼き払う。
「ふぅ!今日のお仕事も終わり~!さくや~疲れたよぉ」
そう言いながら俺こと
陽鬼の戦いっぷりは、もう何も言うことなしの100点満点だが
一つ気になることがある。
「ドラゴン相手にお疲れさん陽鬼...んで魔石は?」
「あっ....溶かしちゃった...てへ」
よし決めた。
「次は、
「だめぇええええええ!!!」
そんなこんなで無事だった魔石はたったの3個....
10匹狩ってこれは無いだろ...
絶対に次は月夜を呼んでやる。
「じゃあそろそろ帰るか」
「え!帰りにどっか寄ろうよ!」
ダンジョンに持ち込んでも壊れない!!とCMでうるさく宣伝されていた
探索者フォンで時間を確認する。
「18時だからもう「やっぱり前に食べれなかったスペシャルイチゴパフェかなぁ?!いやでもスペシャルモリ合わせパフェも捨てがたいんだよねぇ?!」」
いやもう今日は行く気になれないんだけど。
それに陽鬼、スペシャルモリ合わせパフェは昨日食ったろ...
「今日はもう夜ご飯の買い物も頼まれてるから絶対に行けないぞ」
「ガーーーン...でも確かにお義母様の言われてることなら、うぅスペシャルイチゴパフェとスペシャルモリ合わせパフェがぁ~」
「おい、二つは絶対食えないからな陽鬼」
それと陽鬼と居るところを学校の奴らに見られたくない。
絶対に...
ダンジョンから出る前に陽鬼にはカードに戻ってもらい
母さんに言われていたものを買い、家へと帰宅する。
そして陽鬼との契約通り家の中に入った後、カードからもう一度召喚する。
【カード:選択「陽鬼」召喚】
「お義母様~!ただいまでーす!!」
「あらあらお帰りなさい陽鬼ちゃん」
リビングに居たのは女手一つで俺を育ててくれた母である
ちなみに父は俺が生まれた数年後に探索者として亡くなっている。
「陽鬼ちゃん怪我はしてないかしら。さくやは弱いでしょうから陽鬼ちゃんの足を引っ張って無いかが心配だわぁ」
「そんな!!さくやは強いのでお義母様が心配になることは一切起こりませんよ!!それに何かあればすぐに私が飛んで行って助けます!!絶対に!!」
女の子に守られるのはどうなの?って目で見ないで母さん。
俺も頑張ってるんだけど...
...契約条件緩めたりほんと色々...ほんとに疲れるんだぞ契約。
この場にいるとなんだか気まずいな。
「母さん、ちょっと外の空気吸ってくる」
「は~い、あんまり遠くに行かないように」
ふぅやっぱり一人の時間は落ちつけるなぁ。
それにしても――
夜の空を見上げるとそこには綺麗な星空
に広がる1位から1万位までの文字と数字の羅列『ランキング』が空を支配していた。
そして一番でかい文字で書かれている1位から10位の1位だけがここ1年匿名だ。
それも
「俺と同じ不遇職のカードマスターが1位を1年間キープか...同じ職業として是非会ってみたいな」
単純にどんなモンスターを連れてるかが気になる。
まぁランキング外であろう俺とは話もしてくれないだろうけどな。
「...ランキング」
40年前に突如として変わってしまった世界。
現れたダンジョンにモンスター、それに伴い戦うための適性職業など。
そして2年前、空に現れた謎のランキング。
「確かランキングは個々が持つ力で順位が決まってるんだっけか」
俺もこうやって空に手を伸ばして『匿名解除』と言えば俺の名前が1万位内にもしかしたら――
「っているわけ無いよな。だってランキング内でカードマスターは一人だけだしな」
ピロンッ
CMがやたらうるさくて買うか迷った挙句店員さんに押されに押され買ってしまった
探索者フォンが鳴る。
母さんからだろうな。絶対に。
「そろそろ帰るか、ってその前に夜に一人で帰るのもいいけどやっぱあいつと帰ろうかな」
その後、冷気を身に纏った白髪の青年を召喚し、話をしながら帰宅した。
「じゃあな」
「はい。いつでもお呼びくださいマスター」
本当にいい子過ぎる。
いつも素直に帰ってくれるし駄々こねないし
誰かさんみたいに...
「あれ?さくや帰ってきてたの!!今日はお義母様のハンバーグだよ!あっ、ちゃんと私もお手伝いしたからね!ね?偉いでしょ!!」
え、笑顔がまぶしい。
陽キャでもない俺にその笑顔は...
「ね!早く食べよ!!」
まぁ、陽鬼の笑顔は元気貰えるからいいか。
正直、出会った当初はこんな明るい奴になると思わなかったんだけどな。
それだけ俺のことを受け入れてくれてるってことだろうな。
...ちょっとはずいな。
恥ずかしさをごまかすように陽鬼の頭を撫でる。
「はいはい偉い偉い」
「んん~!!♪明日は朝からダンジョン行くの?」
「いや、明日は学校だから放課後な」
はぁ、正直行きたくないな。
学校という監獄はボッチには辛すぎる...
「はぁ、ランキングにさえ入っていれば絶対友達の一人や二人できただろうにな」
まぁそんな薄っぺらい名前だけの友達はかえって辛くなるだろうから今のままでいいか。俺にはこいつらもいるしな。
「さ、さくやぁ、溶けちゃうぅ」
「あぁ悪い悪い」
「.....変態さくや」
そそくさとリビングに逃げ込んだ陽鬼の後を追っていくと
そこには「ナニヲシタ?」と言ってそうな目つきと異常なまでの圧を発している
母さんが待っていた。
母さんがランキング一位なのかもな。
「は、はは、」
その後は特に何もなくご飯を食べお風呂に入った後
明日の地獄に備えて寝た。
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