第90話

その日の夜、アタシはカフェインを摂って少しでも眠気を遠くへ逃がそうとした。


すると玄関のドアが開く音がした。

時計を見ると20時すぎ、リオの帰宅はもっと遅くなるものだと思っていた。



「お、おかえり。」


リオの顔を見るとなぜか緊張した。

夜に会うのは、週7日あっても数少ない。



「ただいま、沙良が夜起きている姿は何だか違和感があるね。」



そう言って彼は上着を脱いで背伸びをしながら部屋に入って行った。



アタシは小さく溜息をつく。


少し動悸だってする。


リオにとっては一日の終わりの時間かもしれないけど……。


アタシにとってはこれからが本番なんだから。

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