第88話

「ごめん、怒ってる?」


「え、どうして?」



アタシが聞き返すと、リオは少し困ったような表情をする。



「だって仕事だし、気にしないで。」



彼の仕事の大変さなんてはっきりとは分からない。だけど重要なポストに位置づけされてるのは父から多少聞いているから無理は言えない。



「凄く物わかりの良い事言うんだねぇ、」


……?


そう言ってリオは腕時計を見る。


「あ、そろそろ出る。帰りは遅くなるかも、先寝てて。」



アタシの髪を撫でると、それだけで満足そうに彼は笑って部屋を出た。

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