第86話

……でも、夢なら少しは大胆になれるかも。


だってこれはリアルじゃない。


「リオ、」


アタシが彼の名前を呼ぶと、夢の中のリオは薄く微笑んで指でアタシの唇をなぞると

軽くキスをする。


それは生々しく彼の温度を感じた。


それでアタシはちょっと訳が分からなくなった。


これは夢のはずなのにリオの唇の感触、体温がアタシの身体を煽るみたいに何度も触れる。



「これは、夢じゃないの?」



思わずアタシは朦朧とする中で必死に声を出してみた。



すると目の前のリオはアタシから身体を起こすと視線を合わせる。



「……沙良、君起きてるの?」

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