第33話

「諏訪、ここはカウンセリングルームじゃないんだけど。」



呆れた口調で目の前の医師はそう言った。



「だって仕事ばっかりで俺には何の潤いもないのに。本社で働いてたら去年いきなり日本支社に辞令がおりて、海外に出た意味がないよね。」


俺はデスクに置いてある聴診器を触ろうとした。


するとそれを察知したのか医師は無言で聴診器を俺から遠ざける。



「うわ、俺を汚いもの扱いしないでくれる?滝川先生。」



「……仕事に戻ってください、諏訪マネージャー。」


と、冷ややかにあしらうこの男とは実は卒業した大学が同じだったりする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る